2022年の冬のことを、今でもはっきり覚えています。仕事の昼休みにスマホで証券口座を開くと、評価額が前日より数十万円減っている。翌日も、その翌日も。積み上げた資産が、最終的に6割溶けました。
私は横浜市在住・50歳の営業職。子供3人を1馬力で養う普通の会社員です。2021年からレバナス(iFreeレバレッジNASDAQ100)を積み立てて4年。あの2022年の大暴落を一度も売らずに通過して、2026年7月時点の損益率は+156.3%になりました。この記事は自慢話ではありません。「なぜ売らずにいられたのか」と「どういう人はやめたほうがいいか」を、実際の数字と一緒に残しておく記録です。
📋 この記事でわかること
- 50歳会社員がレバナスを始めた理由(コロナ禍・YouTube・1冊の本)
- 2022年に資産が6割溶けたとき、実際に何を考えていたか
- 売らずに済んだのは根性ではなく「仕組み」だったという話
- 4年後の実際の損益(2026年7月時点・複数口座の実数)
- レバレッジ投資をやめたほうがいい人・向いている人の条件
始まりは2021年。コロナ禍の引きこもりとYouTubeだった
投資を始めたきっかけは、かっこいいものではありません。緊急事態宣言で外に出られず、手持ち無沙汰の時間を全部YouTubeに注ぎ込んだ。それだけです。ただ、そこで初めて「収入が限られた会社員が資産で上振れを狙うなら、どこかでレバレッジを利かせるしかない」という現実に向き合いました。不動産も事業も、突き詰めれば借入というレバレッジで伸ばす世界。私は借金はしたくなかったので、「投資信託の中身にレバレッジが入っている商品」を選びました。それがレバナスです。
もうひとつ背中を押したのが『ブラックスワン』という本でした。市場は予測できない、想定外は必ず起きる——ならば予測を当てにいくのではなく、「想定外の暴落が来ても退場しない設計」を先に作って、上振れの尾(テール)を取りに行こう。そう決めて、2021年に積立を始めました。
💬 実際どうなのか
レバナスはNASDAQ100指数の値動きの約2倍で動く投資信託です。上がるときは2倍気持ちいいのですが、下がるときも2倍。さらに上下を繰り返すレンジ相場では「減価」といって、指数が元に戻っても基準価額が戻りきらない性質があります。この仕組みを理解しないまま「儲かるらしい」で入ると、最初の下落で退場します。
2022年、資産が6割溶けた
始めて1年もしないうちに、それは来ました。2022年の米国株の下落で、レバナスは年間で6割超のマイナス。SNSでは「レバナスは詐欺商品」「養分」という言葉が飛び交い、含み損を抱えたまま損切りして去っていく人を毎週のように見ました。
私の口座も例外ではありません。昨日まであった数十万円が今日消えている。それが数ヶ月続く。正直に言うと、平気ではありませんでした。ただ、パニックにもならなかった。理由は単純で、「暴落は必ず来る」と先に決めてあったからです。想定外ではなく想定内の出来事だった。それだけの違いです。
✅ 対策
私がやったのは「見ても動かない訓練」ではなく、動けない仕組み作りです。①投資は生活費と完全に切り離した余裕資金だけ②積立は自動設定にして手動の判断を挟まない③「ポジションを解消しなければ負けは確定しない」を紙に書いて貼る。売る操作をしない限り、損は数字の上だけ。この理屈を信じられる金額までしか入れない、が私のルールでした。
なぜ売らなかったのか。根性ではなく「設計」の話
「よく耐えられましたね」と言われますが、耐えたという感覚はあまりありません。私にとってレバレッジ投資は自分との戦いで、勝敗を分けるのはメンタルの強さではなく、メンタルに頼らない設計だと思っています。
影響を受けた本がもう1冊あります。『データの見えざる手』。人間の行動は本人が思うより機械的で、意志の力は当てにならない——だからこそ、判断を毎回自分に委ねず、自動化してしまう。積立の自動設定は、まさにこれです。下落局面で私がやったことは「何もしない」ではなく、「何もしなくていい状態を最初から作ってあった」でした。
💬 実際どうなのか
下落中も積立は止めませんでした。結果論ですが、2022年の安値圏で自動的に買い続けた分が、その後の回復で一番効いています。あのとき「相場が落ち着いてから再開しよう」と手を止めていたら、今の損益率はまったく違う数字だったはずです。
4年後の結果:+156.3%(2026年7月時点)
数字を開示します。メインの松井証券にあるレバナスは、評価額2,661万円・評価損益+1,623万円・損益率+156.3%(2026年7月16日時点)。別のSBI証券には2021年の初期から持っている一番古い玉があり、こちらは+227%になっています。買った時期で損益率は大きく違いますが、共通しているのは「一度も売っていない」ことだけです。
誤解のないように書いておくと、この結果は私の実力ではありません。2023年以降のAI相場という強烈な追い風に救われた面が大きい。同じ4年でも、開始時期が半年ズレていたら数字は別物です。再現性があるのは損益率ではなく、「退場しない設計で続けた」という行動のほうだと思っています。
⚠️ 以下に当てはまる方は慎重に検討してください
- 生活費や5年以内に使う予定のお金で投資しようとしている
- 含み損が出ると眠れない・仕事が手につかなくなる自覚がある
- 「半分になっても売らない」と今この場で言い切れない
- 借金やレバレッジ取引(信用・FX)と組み合わせようとしている
- SNSの損益報告を見て焦って始めようとしている
✔️ 以下の方に向いています
- 15年以上使う予定のない余裕資金で運用できる
- 暴落を「想定内」として先に織り込んでおける
- 積立を自動化して、日々の判断を手放せる
- 資産全体の一部(コアは別に持つ)として位置づけられる
これから考える人へ。順番だけ間違えないでほしい
4年やってきた身として伝えたいのは、「レバナスを買うかどうか」の前に決めることがある、ということです。①生活防衛資金を確保する②非課税枠(NISA)の使い道を先に決める③その上で余った攻めの資金をレバレッジに回すか考える。この順番です。私自身、新NISAが始まるときに「非課税枠とレバナスのどちらを取るか」で本気で悩み、結局レバナスは特定口座で継続、NISA枠は別の商品にするという二本立てに落ち着きました。その経緯は別記事に詳しく書いています。
ちなみにレバナスは新NISAでは買えません(デリバティブを使う投信は対象外)。「NISAでレバナスを積み立てよう」と考えていた方は、先にその事実だけ知っておいてください。
4年間で変えたこと、変えなかったこと
変えなかったのは、積立の自動設定と「売らない」ルールの2つだけです。周囲には何度も「レバナスはやめとけ」と言われました。2022年の下落中は特にです。それでもルールを変えなかったのは、意地ではなく、変える理由が「怖いから」しかなかったからです。怖さを理由に設計を変え始めると、次の下落でも、その次でも変えることになります。
一方で、変えたのは情報との距離感です。始めた頃は毎晩YouTubeの相場解説を見ていましたが、あるとき気づきました。解説を何本見ても、翌日の私のやることは変わらない。むしろ見るほど不安だけが積み上がる。今は月末に評価額を記録するだけにして、日々の値動きを見ない週も普通にあります。不安になる行動そのものを生活から外す——『データの見えざる手』で学んだ発想が、いちばん効いたのはここでした。
家計との両立も現実問題でした。わが家は子供3人の教育費と積立が重なる時期です。積立額を相場に合わせて増減させると、それ自体が相場判断になってしまうので、「増やすなら年初に決めた月だけ」と機械的にしています。判断の回数を減らすことが、1馬力の家計でレバレッジと付き合う唯一のコツだと思っています。
よくある質問
Q. 今から始めるのは遅くない?
A. わかりません、が正直な答えです。私に言えるのは、「遅いかどうか」を考える前に「暴落しても続けられる金額設計か」を確認してほしい、ということだけです。高値圏で始めるほど、直後の下落に耐える設計の重要度が上がります。
Q. いくらから始めるべき?
A. 私の基準は「半分になっても生活と心が壊れない額」です。感覚がつかめないうちは月数千円で値動きに慣れて、耐えられると確認できてから増やす。遠回りに見えて、これが一番の近道です。
Q. 暴落が来たらどうすればいい?
A. 来てから考えないこと、がすべてです。来てから考えると大抵は狼狽売りになります。「暴落は想定内」「何もしない」を事前に決めておく。私は2022年に、先に決めてあったから動かずに済んだ、を実体験しました。
📝 まとめ
- 2021年開始・2022年に6割の下落を経験・一度も売らず4年で+156.3%(2026年7月時点)
- 売らずに済んだのは根性ではなく、余裕資金・自動積立・「解消しなければ負けない」という設計
- 好成績はAI相場の追い風によるもので、再現性があるのは「退場しない仕組み」のほう
- 生活費・短期資金・眠れなくなる人には向かない。順番は生活防衛→NISA→攻め資金
暴落は「来るかどうか」ではなく「いつ来るか」です。それを想定内にできる設計があるなら、レバレッジは怖い道具ではなくなります。
※本記事は筆者個人の体験記録であり、特定の金融商品の推奨ではありません。レバレッジ型投資信託は大きな元本割れリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。



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