📋 この記事でわかること
- カードの個人賠償責任保険がランク別にいくらなのか(公表資料の実数)
- 自動付帯ではなく「選んで申し込むもの」だという仕組み
- ショッピング保険と賠償責任保険の、守っている向きの違い
- 火災保険・自動車保険・カードの3つを比べて、どこに付けるのがいいか
家族の個人賠償責任保険がゼロだと気づいたとき、最後の望みをかけたのがクレジットカードだった。
「たしか付帯保険に賠償のやつがあったはずだ。ゴールドカードだし、付けられるなら、もうこれでいいんじゃないか」
正直、一瞬そう思って終わりかけた。
実際に会員サイトを開いて、数字を見るまでは。
この記事は、その数字を見てから考え直すまでの記録。
カード会社の公表資料を実際に突き合わせた結果と、最終的に火災保険に付けることにした理由を、金額ごと全部出す。
結論:ゴールドカードでも、20万円のことがある
いちばんおどろいたのが、ここ。
三井住友カードが公表してる「カード別保険金額一覧」から、個人賠償責任危険補償の欄だけを抜き出してみる。
| カード種別 | 個人賠償責任危険補償 |
|---|---|
| Visa Infinite・プラチナ | 1億円 |
| プラチナプリファード(年会費33,000円) | 100万円 |
| ゴールド(NL)・Oliveフレキシブルペイ ゴールド | 20万円 |
| 一般A・アミティエ・一般(NL)・一般(CL)・Olive一般 | 20万円 |
ゴールドでも、一般カードと同じ20万円。
ランクを上げても、1円も増えてない。
年会費33,000円のプラチナプリファードで、ようやく100万円。
1億円になるのは、最上位のプラチナ以上だけだった。
この20万円が、どのくらいの数字なのか。
自転車事故の賠償で有名な判決と並べてみる。
| 金額 | |
|---|---|
| 神戸地裁 平成25年7月の判決(加害者は小学5年生) | 9,520万円 |
| ゴールドカードの個人賠償 | 20万円 |
| カバーできる割合 | 0.2% |
残り9,500万円は自腹。
「ゴールドカードに付いてるから、うちは大丈夫だろう」という見立ては、まったく当てにならなかった。
そもそも「付帯してる」ことのほうが少ない
もうひとつの勘ちがいが、これ。
海外旅行傷害保険みたいに、持ってるだけで自動で付いてくると思い込んでた。
調べてみると、個人賠償責任保険は自動付帯じゃなく、任意加入のオプションなのが基本だった。
三菱UFJカードもJCBも、カードを持ってるだけでは適用されず、別に申し込みが必要だとはっきり書いてる。
- 三菱UFJカード「ハンディー保険」日常生活賠償プラン……月210円〜360円の3段階から選択。最大1億円まで(2025年5月時点)
- JCB……同社の解説では、カードの個人賠償責任保険は月200〜300円台のものが多く、高くても1,000円程度
つまり、有料オプションなら、月200〜300円台で1億円まで引き上げられるってことでもある。
無料で付いてる20万円と、月300円の1億円。
同じ「カードの個人賠償」でも、まったく別の商品。
本当に自動で付いてくるのは、最上位カードくらいだった。
- アメリカン・エキスプレス・プラチナ・カード……最大1億円・家族特約あり。ただし公式ページには示談交渉の記載なし
- ダイナースクラブ プレミアムカード……最大1億円・家族特約あり。示談交渉サービスの有無は最新の規定集で要確認
- ダイナースクラブカード……年4,960円の「ダイナース ライアビリティプラン」に加入すると最大1億5,000万円、受託者賠償責任保険付き
※ 上の補償額・条件は記事執筆時点で私が確認したものです。カード付帯の保険は改定されることがあるため、申し込みや切り替えの前に、各社の最新の規定集で必ず確認してください。
年会費が数万円から十数万円の世界。
個人賠償のためにこのクラスを持つ、という発想にはならなかった。
じゃあ、アメックスでもゴールドならどうか。
いまのアメックスのゴールド(アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード・カード)も確かめた。
日常生活の個人賠償責任保険は付いてない。
アメックス公式の個人賠償責任保険のページで対象カードとして挙がってるのは、プラチナ・カードとANAアメリカン・エキスプレス・プレミアム・カードの2種類だけだった。
ゴールド・プリファードにあるのは、旅行傷害保険の中の「賠償責任保険金」。
旅行代金をカードで払った海外旅行中に限って、最高4,000万円。
国内旅行の補償には、賠償責任の項目がない。
子供が自転車で人にぶつかった、ボールで隣の窓を割った、という日常の事故には使えない。
なので、「ゴールドだから賠償も付いてる」とは考えないほうが安全(いずれも2026年10月時点のアメックス公式サイトの記載)。
そして、示談交渉サービスが付くかどうかも確認が必要だと、ここではじめて知った。
自転車事故には自賠責保険がないので、示談代行がないと、加害者側の自分が被害者やそのご家族と直接、金額の交渉をすることになる。
補償額が大きいカードでも、公式ページだけでは示談交渉の有無がわからないことがある。
規定集まで見ておく価値がある。
「選べる無料保険」は、選んでなければゼロ
さっきの20万円にも、続きがあった。
あれは「選べる無料保険」という仕組みで提供されてるもので、7つの補償プランから1つを選んで申し込む方式。
- スマホ安心プラン(動産総合保険)
- 弁護士安心プラン(弁護士保険)
- ゴルフ安心プラン(ゴルファー保険)
- 旅行安心プラン(海外・国内旅行傷害保険)
- 日常生活安心プラン(個人賠償責任保険)
- ケガ安心プラン(入院保険・交通事故限定)
- 持ち物安心プラン(携行品損害保険)
つまり、スマホ安心プランを選んでる人の個人賠償はゼロ。
20万円ですらない。
しかも、毎月20日までに選ぶと翌月1日から1年間、という更新制でもある。
ここが、いちばんの落とし穴だと思った。
「カードに付いてる」と思い込んでるだけで、選択画面を一度も開いたことがない。
まさに自分がそうだった。
スマホの画面割れのほうが起きそうだから、スマホ安心プランを選んだ。
そういう人は多いはず。
その選択自体は合理的だけど、そのとき個人賠償は消えてる。
ショッピング保険と取りちがえてないか
カードの保険ページを開くと、補償がずらりと並んでる。
「なにかしら賠償のやつがあった気がする」で済ませると、ほぼ確実にこれと取りちがえる。
ショッピング保険(お買物安心保険)は、賠償責任保険じゃない。
カードで買った品物が壊れたり盗まれたりしたときの補償。
年間100万〜300万円という金額が自動で付いてることが多いので、いちばんまぎらわしい存在。
同じテレビでたとえると、こうなる。
| できごと | 働く保険 |
|---|---|
| カードで買ったテレビを、自宅で落として壊した | ショッピング保険(自分の物の補償) |
| 店頭のテレビを倒して壊した | 個人賠償責任保険(他人への賠償) |
| 子供が自転車で人にケガをさせた | 個人賠償責任保険 |
| カードで買ったパソコンが自然故障した | どちらも対象外(メーカー保証の領域) |
守ってる向きが逆。
ショッピング保険は、自分の財布を守る保険。
個人賠償は、相手に払うための保険。
名前も置き場所も似てるけど、まったくの別物だった。
いちばん怖いのは、本体ごと消えること
金額の話より、決定的だったのはこっち。
カードを解約すると、付帯してた保険も一緒に解約になる。
これは、自分が自動車保険でやったことと、まったく同じ構造だった。
前年に自動車保険を他社へ乗り換えたとき、付いてた個人賠償責任特約がそのまま消えてた。
保険をやめたつもりはない。
保険がぶら下がってる「本体」を乗り換えただけだった。
カードだと、これがもっと軽い動作で起きる。
- 年会費を整理しようとして、使っていないカードを解約した
- ポイント還元率の高いカードに乗り換えた
- 家族カードをやめた
どれも、家計の見直しとしては正しい行動。
でもそのたびに、気づかないまま賠償の備えが消える可能性がある。
個人賠償は、火災保険・自動車保険・クレジットカードと、どこにでもぶら下がれる便利な特約。
でも便利さの裏返しで、「本体の都合で勝手に消える」という性質を持ってる。
じゃあ、どこに付けるのがいいのか
ここまで来て、論点が「いくらか」から「どこに付けるか」に移った。
個人賠償を付けられる器は、家庭にたいてい3つある。
| 火災保険 | 自動車保険 | クレジットカード | |
|---|---|---|---|
| 限度額の相場 | 1億円 | 1億円〜無制限 | 20万円〜1億円(差が激しい) |
| 上乗せ費用の目安 | 月190円 (私の契約の実額) | 月100〜200円程度 | 無料〜月360円 |
| 示談交渉サービス | 付いていることが多い | 付いていることが多い | カードによる |
| 使ったときの不利益 | なし | なし(ノーカウント事故) | なし |
| 本体が消えるリスク | 低い 住む限り契約している | 中 車を手放すと消える | 高い 解約・乗り換えで消える |
自動車保険の欄に「使ったときの不利益なし」と書いたのには、理由がある。
個人賠償責任特約の保険金だけを使った場合は「ノーカウント事故」に分類されて、翌年の等級は下がらない。
それどころか、通常どおり1等級上がるし、事故有係数適用期間も付かない。
つまりこの特約は、使うことを一切ためらわなくていい補償。
車両保険や対物とは、性格がまったくちがう。
去年は価格差だけを見てこれを外したけど、この事実を知ってたら判断は変わってたかもしれない。
火災保険に決めた理由
表の最後の行。
いちばん解約する予定のない本体に付ける。
車は、手放すかもしれない。
カードは、来年には別のものに乗り換えてるかもしれない。
でも、賃貸に住んでるかぎり、火災保険だけは必ず契約してる。
むしろ賃貸借契約の条件になってることがほとんどで、こっちの都合では解約できない。
実際に入り直した契約では、個人賠償1億円の上乗せぶんが月190円。
年に2,280円。
示談交渉サービスも付いてる。
ここまで「解約されにくい本体に付ける」と書いてきた。
でも、どの火災保険にするかを決めたときは、逆の基準で選んでる。
入り直したのは、月額払いのネット完結型。
賃貸の火災保険は、入居時に2年ぶんを一括で前払いする形が多い。
そっちのほうが、総額では安く見えることもある。
それでも月額にした。
やめたいときに、翌月からやめられるから。
一括前払いだと、途中で引っ越しても、もっと条件のいい商品を見つけても、解約と返戻の手続きがはさまる。
手間がかかるとわかってると、そもそも見直そうという気が起きない。
月額なら、乗り換えの判断をいつでもできる状態のまま置いておける。
つまり、補償を載せる器は解約されにくいほうがよくて、器そのものは自分の意思で降りられるほうがいい。
矛盾してるようだけど、どちらも「自分の選択肢が減らない側」を選んでる点では同じ。
契約したのは「スマート賃貸火災保険」
商品名まで書いておく。
入ったのは、スマート賃貸火災保険。
少し変わった作りで、火災保険の部分をMysurance、個人賠償責任保険の部分を損保ジャパンが引き受けてる。
この記事で書いてきた「示談交渉サービス付きの個人賠償1億円」は、後者のほう。
プランは2つあって、選び方がそのまま今回の話につながってる(スマート賃貸火災保険 公式サイト/2026年9月時点)。
| プラン | 月額 | 個人賠償1億円 |
|---|---|---|
| ベーシック | 570〜630円 | あり(うち190円がこの部分) |
| スリム | 380〜440円 | なし |
つまり、個人賠償責任保険を付けるか外すかで選べるってこと。
自動車保険の特約ですでに個人賠償を持ってる人は、スリムを選べばいい。
わが家は、カードも車の特約も頼りにならないとわかったので、ベーシックにした。
月額の幅(570〜630円)は、家財の保険金額を100万〜700万円のあいだで動かせるぶん。
ここも100万円単位で選べる。
必要になったら足せて、不要になったら外せる。
この形だったことも、決め手のひとつ。
保険は「入ったら終わり」になりがち。
でも、あとから動かせるとわかってると、迷ったときに「とりあえず付けておく」という判断ができる。
外せることが、決める負担を下げてくれる。
引っ越しても住所変更だけで続けられるので、解約手続きもいらない。
続けるのも、やめるのも、どちらも軽い。
賃貸に住むかぎり必ず契約が続く「器」としては、ここが効いてる。
ひとつ補足しておくと、火災保険部分の引受は少額短期保険業者。
生命保険契約者保護機構・損害保険契約者保護機構の保護対象じゃないので、そこは理解したうえで契約してる。
補償額と保険期間に上限があるタイプ、ということ。
ただ、正直に書いておくと、これで完璧になったわけじゃない。
契約前に重要事項等説明書を最後まで読んだら、示談交渉サービスには「賠償責任の額が保険金額を明らかに超える場合は使えない」という条項があった。
1億を明らかに超える事故では、示談代行がいちばん必要なその場面で外れる、ということ。
なので、わが家は限度額3億円クラスの自転車保険を上積みする方向で検討してる。
「どこに付けるか」を決めたあとに、まだ「いくらにするか」が残ってる状態。
この条項の全文と、個人賠償で出る例・出ない例は、個人賠償責任保険はどこまで出る?約款の免責条項を全部書き出しましたにまとめた。
✅ おすすめの理由
火災保険に付ける最大の理由は、保険料の安さじゃなく解約されにくさだった。
車は手放すかもしれないし、カードは乗り換えるかもしれない。
でも賃貸に住むかぎり、火災保険だけは契約が続く。
しかも上乗せは月190円で、示談交渉サービスも付いてくる。
⚠️ 注意点・デメリット
- カードの個人賠償はカードを解約すると一緒に消える。年会費の整理や乗り換えのたびに補償が消える可能性がある
- アメックス・プラチナは、公式ページに示談交渉の記載がない。限度額1億円でも、示談代行が付くかは規定集で確認が必要
- 「選べる無料保険」は選んでいなければゼロ。スマホ安心プランを選んでいる人に賠償の備えはない
- 年間100万〜300万円で自動付帯しているのはショッピング保険で、賠償責任保険ではない
✔️ こんな人におすすめ
- 賃貸に住んでいて、火災保険の加入が契約条件になっている(=解約できない本体がある)
- カードを定期的に整理・乗り換えている
- 車を手放す可能性がある
- カードの付帯保険ページを一度も開いたことがない
今日、5分でできること
カードの会員サイトにログインして、「付帯保険」か「保険」のページを開くだけ。
見るのは3つ。
- 個人賠償責任保険という項目があるか(ショッピング保険・お買物安心保険は別物なので、名前をよく見る)
- あるなら、保険金額はいくらか(20万円なのか1億円なのかで、意味がまったく違う)
- 選択制なら、いま何を選んでいるか(選んでいなければ、金額以前にゼロ)
この3つを見て、カードを頼りにするのをやめた。
逆に、ここで1億円と書いてあるなら、それはそれで立派な備え。
確認しないまま「たぶん付いてる」で済ませるのが、いちばんまずい。
よくある質問
Q. 火災保険とカード、両方に付けたらムダになる?
損害額を超えて受け取ることはできないので、損害が片方の限度内に収まる範囲ではムダ。
ただし限度額を超える部分は、もう一方から出る建て付けになってるのが一般的。
たとえば1億円と3億円を持ってて、賠償額が9,000万円なら、どちらか一方から9,000万円が出て終わり。
重ねた意味はない。
賠償額が2億円になってはじめて、1億円を超えたぶんがもう一方から出る。
重ね掛けは「いちばん必要な領域でだけ効く」と考えておくのがよさそう。
ただし、書きぶりは商品ごとにちがう。
申し込むときに「ほかに個人賠償の契約がある」と伝えて、上乗せとして機能するか確認してほしい。
Q. 家族も対象になる?
多くの場合、1契約で家族全員が対象。
自分の契約では、被保険者の範囲がこう決められてた。
- 記名被保険者本人
- その配偶者
- 本人または配偶者の同居の親族
- 本人または配偶者の別居の未婚の子
- 本人や上記の方が未成年・責任無能力者の場合の親権者、その他の法定の監督義務者
最後の行が大事。
小学生が自転車で人をはねた場合、賠償能力のない子供じゃなく、監督義務者である親に請求が来る。
その親もちゃんと被保険者にふくまれてる、という意味になる。
子供のために別契約を用意する必要は、ふつうはない。
ちなみに「別居の未婚の子」が入ってるので、進学で下宿してる子供もカバーされる(結婚すると外れる)。
ここは商品によって条件がちがうので、証券の被保険者欄を見てほしい。
Q. 年会費無料のカードで1億円にできる?
無料の枠のままでは、難しそう。
さっきの一覧のとおり、無料で選べる補償は20万円だった。
ただし、有料オプションなら話が変わる。
三菱UFJカードの「ハンディー保険」は、月210〜360円で最大1億円まで。
JCBでも、月200〜300円台の商品がある。
カード本体の年会費が無料でも、保険だけ有料で足す、という選び方はできる。
ただ、その場合でもカードを解約すれば保険も消えるという性質は変わらない。
月200円台で1億円という条件だけを見れば、悪くない。
でもわが家は、「消えにくさ」を優先した。
まとめ
📝 まとめ
- ゴールドカードでも個人賠償は20万円のことがある。一般カードと同額で、ランクを上げても増えない
- そもそも自動付帯じゃなく、選んで申し込むものが基本。選んでなければゼロ
- 年間100万〜300万円で自動で付いてる補償は、たいていショッピング保険。守ってる向きが逆
- 有料オプションなら、月200〜360円で1億円まで上げられる
- カードを解約すると保険も消える。個人賠償は、いちばん解約しない本体に付けるのがいい
結局、火災保険に月190円で付けた。
保険料の安さより、住んでるかぎり自分の意思では解約できない契約だから、という理由のほうが大きかった。
カードの会員サイトを開いて、3つ確認するだけなら5分で終わる。
「たぶん付いてる」のままにしておくのが、いちばん高くつく。
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※この記事の金額は、各社が公表している資料を2026年9月に確認したものです。補償内容・保険金額・保険料は改定されることがあり、同じ名前のカードでも発行時期やプランによって条件が異なる場合があります。ご自身のカードについては、必ず会員サイトの付帯保険ページと保険会社にご確認ください。私は保険の専門家ではありません。


