「保険料控除があるから得」は本当か|年末調整が数分で終わる50代の計算

保険料控除で戻る金額を示すアイキャッチ画像。控除上限12万円をフルに使っても戻るのは年1万9千円で、保険料を年10万円払って戻りは1万円、払わなければ10万円がそのまま手元に残ることを比較している 保険の見直し

毎年11月ごろになると、職場が少しざわつく。
年末調整の保険料控除の記入。

みんな控除証明書を何枚も引っぱり出して、
一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料に分けて、
旧制度か新制度かを確認して、計算欄を埋めていく。

けっこうな手間。

自分はその欄が全部空欄なので、数分で終わり。

生命保険も医療保険も、人生で一度も契約したことがないから。

で、毎年決まって言われるのがこれ。

「控除で税金が戻るんだから、入ったほうが得ですよ」

20年以上、言われ続けてきた。

この記事では、その言葉が本当かどうかを数字で確かめてみる。

まず制度の中身|控除額には上限がある

生命保険料控除は、払った保険料に応じて所得から一定額を差し引ける制度。

ポイントは、「払った額がそのまま戻るわけじゃない」ってところ。

2012年(平成24年)以降に契約した新制度では、控除は3つの区分に分かれてる。

区分所得税の控除上限住民税の控除上限
一般生命保険料控除4万円2.8万円
介護医療保険料控除4万円2.8万円
個人年金保険料控除4万円2.8万円
合計の上限12万円7万円

ここで大事なのは、これは「所得控除」であって「税額控除」じゃないってこと。

控除額がそのまま戻るんじゃなく、控除額に自分の税率を掛けたぶんだけ税金が減る。

じゃあ実際、いくら戻る?

仮に上限いっぱいまで控除を使ったとする。
所得控除が所得税12万円・住民税7万円。

所得税率が10%の人なら、所得税の軽減は12万円×10%で1万2,000円。
住民税は税率10%なので、7万円×10%で7,000円。

合計で年およそ1万9,000円。

ただ、この控除枠を使い切るには、それなりの保険料を払ってる必要がある。

払った保険料が年10万円でも20万円でも、戻ってくるのはこの程度ってこと。

つまり、差し引きでは払ったほうが確実に多い。

※ 税率は所得によって変わります。上の数字はあくまで一例です。ご自身のケースは国税庁の資料や源泉徴収票でご確認ください。

2026年分だけ、一般生命保険料控除の枠が広がってる

ひとつ補足。

2026年分に限り、23歳未満の扶養親族がいる家庭は、一般生命保険料控除(新契約分)の上限が4万円から6万円へ拡大されてる。

所得税についての時限措置で、控除全体の上限12万円は変わらない。

子育て世帯にとっては拡充。

でも枠が広がっても、戻る額が払う額を超えることはない。
構造そのものは変わらない。

「控除があるから得」が成り立たない理由

整理すると、こういうこと。

  • 保険料を年10万円払う → 戻るのは1万円前後
  • 保険料を払わない → 手元に10万円がそのまま残る

保障が要らないなら、払わないほうが手元に残るお金は多い。

これは計算するまでもない話。

控除は「保険料の一部を国が負担してくれる仕組み」であって、「保険に入ると儲かる仕組み」じゃない。

割引券をもらうために、要らないものを買ってる。
自分にはそう見える。

逆に言えば、保障が必要で入るなら、控除はおまけとして素直に受け取ればいい。

順番の問題。
保障が先で、控除は後。

ちなみに、年末調整だけじゃ完結しない控除もある。
代表が医療費控除で、これを使う年はふるさと納税のワンストップ特例が無効になる。

くわしくは医療費控除とふるさと納税を両立させる方法で。

じゃあ、どういう人なら控除を理由にしていい?

控除を判断材料にしていい場面もあると思ってる。

  • 必要な保障が先に決まってる場合:同じ保障内容で選択肢が複数あるとき、控除区分の使い方で有利なほうを選ぶのは合理的
  • 個人年金保険料控除の枠が空いてる場合:老後資金を別に用意する前提があるなら、枠の活用を考える余地はある
  • すでに入っていて、解約を迷ってる場合:控除もふくめた実質負担で考えるのは正しい計算

どれも共通してるのは、「保障が要るかどうか」を先に決めてるってこと。

控除から入ってない。

年末調整で空欄を出し続けてる理由

入ってるのは、自動車保険と火災保険だけ。

理由は控除じゃなく、公的制度と貯金で吸収できないリスクだけに保険を使うと決めてるから。

高額療養費制度がある。
傷病手当金がある。
遺族年金がある。

会社員は、それなりに守られてる。
そこを確認したうえで、それでも埋まらない部分だけを保険にしてる。

結果として控除欄は空欄になるけど、それは目的じゃなく結果。

「え、もう終わったんですか」

そう言われるのは、正直ちょっと楽しい。
20年以上続いてる、年に一度の恒例行事みたいなもの。

よくある質問

Q. 保険料をたくさん払えば、控除も比例して増える?

増えない。

区分ごとに上限があって、合計でも所得税12万円・住民税7万円が上限。
それ以上払っても、控除は増えない。

Q. 控除額がそのまま還付される?

されない。

所得控除なので、控除額に税率を掛けたぶんだけ税金が減る仕組み。

Q. 旧制度の契約はどうなる?

2011年以前の契約は旧制度が適用されて、区分や限度額がちがう。

新旧両方の契約がある場合は計算方法も変わるので、証明書の記載区分を確認してほしい。

Q. 保険に入ってないと損?

控除だけ見れば「使える枠を使ってない」状態。

でも、そもそも保険料を払ってないから、手元に残る現金は多くなる。

損得は、保障が必要かどうかで決まる。

まとめ

「控除があるから入ったほうが得」は、順番が逆だと思ってる。

控除で戻るのは払った保険料の一部で、差し引きでは払ったほうが多い。

保障が必要なら入ればいいし、その場合の控除はおまけ。
それだけの話。

年末調整の季節に「入ったほうが得ですよ」と言われたら、
一度、自分の源泉徴収票と控除証明書を並べて計算してみてほしい。

数字を見れば、判断は自分でつくはず。

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参考・免責

この記事の制度内容は2026年8月時点で確認したものです。税制は改正されます。控除額・税率・適用条件はご自身の状況によって異なるため、国税庁の資料や、勤務先・税務署でご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務助言ではありません。運営者は税理士ではありません。

子供3人の5人家族を1馬力で支える50代・営業職の会社員。「固定費削減 × 時短家電 × 資産運用」で暮らしの質(QOL)を高める工夫を、実体験ベースで発信しています。新NISA(松井証券)・iDeCoを運用中。副業にも取り組み、一次情報と自分で試した結果を数字で記録することを大切にしています。

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