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📋 この記事でわかること
- 割れない食器に替えたのに「滑る・持ちにくい」と感じる、素材ではない理由
- 汁椀を汁椀で買い替えなかった我が家の判断と、その後の変化
- 洗い物のいちばん地味なストレス「お椀の底の水たまり」の消し方
その日の夕食は豚汁でした。子供が両手でお椀を持ち上げて、あっ、と思った次の瞬間には、中身は食卓ではなく床に広がっていました。熱いものだったので、幸いにも大事にならなかったのが不幸中の幸いです。
私は50歳、子供3人の5人家族です。食器はずいぶん前から樹脂製にしていました。ガラスや陶器の茶碗はとにかく欠ける。欠けた縁は危ないので捨てるしかなく、また買う。その繰り返しに疲れて「割れない食器」に替えたわけです。
ところが、割れなくなった代わりに別の不満が残りました。つるつる滑るのです。気にはなっていたけれど、そんなものだと思って何年も使い続けていました。あの豚汁の日まで。
滑るのは素材のせいだと思っていました
樹脂だから滑る。そう思い込んでいたのですが、あらためて手に取ってみると、原因はもう少し具体的でした。
お椀という形には、指をかける場所がありません。上に向かってすぼまっていく曲面を、手のひらと指の腹で挟んで支えているだけです。表面がなめらかであるほど、その「挟む力」だけが頼りになります。
そしてこれは、大きいお椀ほど厳しくなります。我が家には味噌汁用の汁椀(小)と豚汁用の汁椀(大)がありましたが、直径が大きい汁椀(大)は、そもそも親指がまわりきらない。滑るというより、持ちにくい。子供の手なら、なおさらです。あの日こぼしたのは、豚汁を入れた大きいほうでした。
💬 実際どうなのか
熱い汁物ほど、お椀の縁は熱くて持てません。だから自然に「下のほうを両手で挟む」持ち方になります。つまり、いちばん滑りやすい持ち方を、いちばん危ないものに対してしている。我が家がずっとやっていたのはそれでした。
洗い物でも、お椀はずっと面倒でした
もうひとつ、口には出していなかった不満があります。お椀は水切りラックに立てられないことです。
皿は溝に立てられます。でもお椀は伏せて載せるしかない。伏せれば場所を取り、上に重ねればさらに乾かない。そして何より、ひっくり返したお椀の高台(底の輪っか)に、水がいつまでも残る。あれがなかなか切れないのです。
拭き上げようと手に取ると、たまっていた水が手首に落ちる。5人分ともなると、それが毎晩5回起きます。ひとつひとつは1秒の出来事で、誰に言うほどのことでもない。だからこそ何年も放置していました。
場所を節約しようと、お椀を斜めに立てかけて載せることもありました。すると今度は崩れる。ひとつ倒れると連鎖して、洗い終わった器がラックの中でぶつかり合います。
同じことが、サラダや肉じゃがを入れていた小さい磁器のボウルにも起きていました。ニトリやイケアで買い足してきたものです。ボウルは高台がないので水はたまりません。でも単独では立てられない。結局ほかの食器に立てかけることになり、これも崩れる。

そして、いちばん手に負えなかったのが汁椀(大)でした。高さがあるので、立てかけることすらできないのです。ボウルならまだ斜めに寄りかからせられますが、汁椀の大は角度がつかず、そのまま倒れてしまう。伏せて置く以外に選択肢がありませんでした。あれは正直、めちゃくちゃストレスでした。
整理すると、我が家の水切りラックには3種類の器がありました。単独で立つ器、立てかけるしかない器、そして伏せるしかない器。下にいくほど場所を取り、崩れやすく、乾きにくい。汁椀とボウルは、そろって下の2つに入っていたわけです。
そもそも、我が家が樹脂に替えた理由
少しさかのぼると、我が家が樹脂の食器を使い始めたのは、陶器の茶碗が欠けるからでした。
子供が3人いると、食器はよく縁を打ちます。落として粉々になるより、ぶつけて小さく欠けるほうがずっと多い。そして欠けた縁は口が切れるので使い続けられません。まだ十分きれいな茶碗を、縁の1センチのために捨てる。あれがどうにも納得できませんでした。
だから樹脂に替えたわけですが、そのときの私の判断基準は「割れるか、割れないか」の一点だけでした。持ちやすいか、洗いやすいか、乾かしやすいかは、まったく見ていなかった。安さで選んだ樹脂の食器が、その後ずっと滑り続けたのは、当然といえば当然です。
割れない食器に替えたのに不満が残っている人は、たぶん私と同じ買い方をしています。素材だけで選んで、形を見ていない。私がそれに気づくのに、何年もかかりました。
買い替えたのは、汁椀ではありませんでした
買い替えを決めたとき、私は最初から「割れない汁椀」を探すつもりでいました。実際、候補にしたブランドには汁椀もお茶碗もあります。
選んだブランドはARAS(エイラス)。食洗機を買わずに手洗いのままでいくと決めたとき、コップを全部プラキラのゆらぎタンブラーに統一して、これが本当に良かった。そのプラキラを作っているのが石川県の石川樹脂工業で、ARASは同じ会社のブランドです。あのタンブラーの表面の質感がもう一度ほしくて、ここから選ぶことは早々に決まりました。
ところが商品を並べて眺めているうちに、考えが変わりました。私が困っていたのは「割れること」ではなく「お椀という形」だったのではないか。だとすれば、割れない汁椀を買っても、滑るし、立てられないままです。
決め手になったのは縁があることでした。縁があれば指がかかる。そしてもうひとつ、縁があれば水切りラックに立てられるのではないかと考えました。確証はありません。半ば期待を込めた賭けです。
そこで買ったのが、汁椀ではなく深鉢ミルー HC(20cm)を5枚でした。汁椀(2,530円)より高い4,290円の器を、汁物用に選んだことになります。
ARAS 深鉢ミルー HC(20cm)
| 価格 | 4,290円(税込・公式) |
| サイズ・重さ | φ200×H60mm/258g |
| 素材・生産地 | SPS+ガラス繊維(BPAフリー)/日本製 |
| 耐熱・耐冷 | 180℃/−20℃ |
| 電子レンジ | OK(700W以下) |
| 食洗機・漂白剤 | どちらもOK |
| 使えないもの | 直火・オーブン・オーブントースター |
※同じ深鉢ミルーでも、ベーシックの3,300円のほうは電子レンジが使えません。レンジで温め直したいなら「HC(ヒートコレクション)」を選ぶ必要があります。ここは私も危うく間違えるところでした。
3つの困りごとが、器を替えただけで消えました
① 縁があるので、指がかかる
いちばん大きかったのはこれです。深鉢には外側に張り出した縁(リム)があります。ここに指がかかる。挟んで支えるのではなく、引っかけて持てるようになりました。中身が熱くても、縁の外側は持てます。
子供が持ち上げるときの手つきが、明らかに変わりました。両手で恐る恐る挟んでいたのが、片手で縁をつまんで運ぶようになった。あの日から、汁物をこぼす事故は起きていません。
② 期待していたとおり、水切りラックに「立つ」
買う前にいちばん賭けていたのがこれで、結果は期待どおりでした。深鉢は皿と同じように、水切りラックの溝に単独で立ちます。伏せて載せる必要がないので場所を取らず、立てた瞬間に水は落ちていく。高台の水たまりはそもそも発生しません。
そして、ほかの食器に立てかけなくてよくなったので、崩れなくなりました。汁椀と磁器ボウルという「立たない器」がラックから消えたことで、置き方に頭を使う時間ごとなくなった、というのが正確なところです。

毎晩5回起きていた「手首に水が落ちる」も、ゼロになりました。器を替えただけで消えたので、拍子抜けするくらいです。
③ 汚れがつきにくく、乾きが早い
表面の仕上げはタンブラーと同じ系統で、油汚れがするりと落ちます。味噌汁のあとのぬめりが残らない。洗剤の量も、こすっている時間も減りました。手洗い派の我が家には、これがそのまま時短になっています。
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正直に書くと、良くない点もあります
気に入っているからこそ、先に弱点を書いておきます。
ひとつめは値段です。1枚4,290円。我が家は5枚買ったので、汁椀とお茶碗とどんぶりをまとめて置き換えた格好とはいえ、食器としては高い買い物です。100円ショップの汁椀と比べる土俵にはありません。
ふたつめは、きれいに重ならないこと。形が少し不揃いなのか、5枚をぴったりスタックすることはできません。食器棚にきっちり収めたい人には気になると思います。

ただ、これは使ってみると流し台では逆にありがたい面がありました。ぴったり重ならないぶん、汚れた面同士が押し付け合わない。洗う前に重ねておいても、下の器の内側に汚れが移りにくいのです。欠点が場所によっては利点になる、という珍しいパターンでした。
みっつめは、万能ではないこと。電子レンジは700W以下まで。直火・オーブン・トースターは使えません。それと、メーカーは「1000回落としても割れない」と言っていますが、公式サイト自身が硬い床への落下や衝撃の加わり方によっては破損する場合があると書いています。絶対に壊れない魔法の器ではない、というのは正しく受け取っておきたいところです。
汁椀もどんぶりもボウルも捨てて、食器は減りました
深鉢が届いてから、我が家は味噌汁用の汁椀(小)、豚汁用の汁椀(大)、どんぶり椀、そしてサラダや肉じゃがを入れていた小さい磁器のボウルを全部処分しました。今は深鉢5枚が、そのすべてを兼ねています。
味噌汁も、豚汁も、うどんも、丼ものも、サラダも肉じゃがも、これ1種類。用途ごとに器を持つのをやめたら、食器棚の一段が丸ごと空きました。「割れないから買い替えない」に、「種類が少ないから増えない」が乗った格好です。
4,290円×5枚を高いと見るか。私は、欠けるたびに買い足していた茶碗と、使いにくいまま何年も我慢していた汁椀の両方を、ここで打ち切れたと思っています。
ちなみに、食洗機は今も買っていません
ここまで洗い物の話をしておいてなんですが、我が家は4年迷った末に食洗機を買わないことを選びました。元を取るのに9.4年かかるという自分の計算が出てしまったからです。
その代わりに変えたのが、コップをプラキラのゆらぎタンブラーに統一したこと、洗う前に油をヘラで削ぐこと、そして今回の器でした。洗い物を機械に渡すのではなく、洗い物そのものを減らすという方向です。今回の深鉢は、その4つ目にあたります。
ちなみにこの深鉢は食洗機も使えるので、あとから食洗機を買っても無駄にはなりません。そこは気楽です。
よくある質問
汁椀の代わりに深鉢だと、味噌汁は飲みにくくないですか?
口をつけて飲むより、スプーンや箸で食べる形になります。我が家はもともと具だくさんの味噌汁と豚汁なので違和感はありませんでした。お椀を持ち上げて汁を飲み干すスタイルを大事にしている家庭には、向かないと思います。
子供が使っても大丈夫ですか?
我が家の子供3人が毎日使っています。落としても割れにくいことより、縁があって持ちやすいことのほうが、結果的に事故を減らしてくれた実感があります。ただし熱い汁物を入れれば器も熱くなるので、そこは陶器と同じ扱いが必要です。
安い樹脂の食器と何が違うのですか?
正直、見た目だけで判断するのは難しいです。私が違いを感じたのは表面で、油汚れの落ちやすさと乾きの早さがはっきり違いました。ここは価格差の理由として納得しています。逆に「軽くて割れなければ何でもいい」なら、安い樹脂食器でも困らないと思います。
ベーシックの3,300円のほうではだめですか?
形は同じですが、ベーシックの深鉢ミルーは電子レンジが使えません。汁物を温め直す使い方をするなら、レンジ対応のHC(ヒートコレクション)のほうです。この差だけは買う前に確認してください。
今夜、ひとつだけ数えてみてください
買う買わないは、いったん置いておいて構いません。今夜、洗い物を終えたあとに、水切りラックの中で「単独で立っていない器」がいくつあるか数えてみてください。伏せてあるお椀、ほかの器に寄りかかっているボウル。その数が、崩れる確率とラックの混み具合をそのまま決めています。
ついでに、伏せたお椀の底に水が残っているかも見てみてください。残っていたら、それは毎晩あなたが1秒ずつ払っているコストです。
私はそれを何年も見て見ぬふりをしていました。気づいたきっかけは、子供が豚汁をぶちまけた日という、あまり嬉しくない出来事です。それでも、原因が素材ではなく形だと分かってからは、話が早かった。
割れない食器に替えても不満が残っているなら、犯人は素材ではないかもしれません。食洗機を買うかどうかで4年迷った話も、よければあわせて読んでみてください。
ARAS 深鉢ミルー HC(20cm)
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