レバナスの為替ヘッジはなぜ「あり」なのか|4年で39%円安が進んでも恩恵ゼロだった50歳の記録

レバナスの為替ヘッジがなぜ「あり」なのかを解説する記事のアイキャッチ。円安が39%進んでも恩恵を受けなかった4年保有者の記録 資産運用・節税

「1ドル160円台まで円安が進みました」——ニュースでそう聞いたとき、私は自分の口座を開いて、少しだけ複雑な気持ちになりました。私が4年間積み立ててきたレバナスは、この円安から1円の恩恵も受けていないからです。

横浜市在住、50歳の営業職。子供3人を1馬力で養う会社員です。2021年、用意した資金の半分を一括で投入し、残りの半分を2年かけて毎月に分けてiFreeレバレッジNASDAQ100(いわゆるレバナス)を買いました。その翌年に来たのが2022年の大暴落です。一括で入れた分は、ほぼ最悪のタイミングで買ったことになります。資産は6割溶けました。それでも売らず、現在は+156%です。

数字だけ見れば順調ですが、この4年で日本円は115円から160円あたりまで、約39%も安くなりました。普通に考えれば、米国株を持っている人はこの円安で大きく得をしているはずです。私はしていません。

理由は、レバナスに「為替ヘッジあり」と書かれているからです。この記事では、なぜヘッジありという設計になっているのか、それにいくらのコストがかかっているのか、そして私がそれを知ったうえで売らずに持ち続けている理由を書きます。

📋 この記事でわかること

  • レバナス(iFreeレバレッジNASDAQ100)が「為替ヘッジあり」である理由
  • ヘッジありだと、円安が進んでも評価額が押し上げられない仕組み
  • 為替ヘッジの「保険料」は年いくらか(2026年時点の実数)
  • 2024年にヘッジなし・コスト半分以下の商品が出ても、乗り換えなかった理由
  • 株の含み損と為替の含み損は、耐えられる長さがまったく違うという話
  • 「一度見た含み益が、戻らないまま消える」という為替特有の苦痛
  • 年齢によって結論が変わる理由(50歳の私と20代では、待てる時間が違う)
  • 期待値ではヘッジなしが上。それでも私がヘッジありを選んでいる理由
  • 私がヘッジありとヘッジなしを両方持って、方向を分けている理由
  • ヘッジありをやめたほうがいい人・持ち続けていい人
  1. 私は「為替ヘッジあり」だと理解したうえで買いました
  2. 為替ヘッジありは「円ベース」、なしは「ドルベース」で増える
  3. 為替ヘッジには「保険料」がかかる。しかも目論見書の費用欄には出てこない
  4. 2024年、ヘッジなしのレバナスが登場した。それでも乗り換えませんでした
    1. 理由①:レバナスの爆発力の前では、為替コストは微々たるもの
    2. 理由②:株の含み損は戻ると信じられる。為替の含み損はそうではない
    3. いちばんきついのは「一度見た含み益が、戻らないまま消えること」
    4. そして私は50歳。「いつか戻る」を待てる時間が、そう長くない
    5. 理由③:乗り換えには、税金という確定した損失がついてくる
    6. 理由④:松井証券のポイント還元率が、auAMより高かった
    7. 正直に言うと、合理性だけならヘッジなしのほうが上だと思っています
  5. 一方で、私はヘッジ「なし」の商品も持っています
  6. 円安side=ヘッジなし、円高side=ヘッジあり。両建てにするという考え方
  7. ヘッジありを持ち続けるかどうかの判断軸
  8. 後悔しない選び方は「どちらが増えるか」では決まらない
  9. ヘッジコストが効いていると実感したのは、2022年の暴落中でした
  10. よくある質問
    1. Q. ヘッジありとヘッジなしを両方買うのはアリ?
    2. Q. 自分のヘッジコストは、どこで確認できる?
    3. Q. 新NISAでヘッジなしのレバナスは買える?
    4. Q. 円高になったら、ヘッジなしのFANG+は売るべき?
    5. Q. これから買うなら、どちらを選ぶ?

私は「為替ヘッジあり」だと理解したうえで買いました

先に書いておくと、私は2021年に買い始めた時点で、この商品が為替ヘッジありだと分かっていました。知らずに買って後から気づいた、という話ではありません。目論見書の「為替リスクを低減するため、原則として為替ヘッジを行います」という記述も読んだうえで選んでいます。

コロナ禍の引きこもり期間にYouTubeで投資を学び、『ブラックスワン』を読んで「限られた収入で上振れを狙うならレバレッジしかない」と腹を決めた。そこまで調べて買う気になっていたので、為替ヘッジの有無は当然チェックしていました。そのうえで「株の値動きだけを見ていられる形がいい」と判断して、ヘッジありを選んでいます。

💬 実際どうなのか

同じ「レバレッジ型のNASDAQ100ファンド」に見えても、為替ヘッジの有無は商品ごとに違います。買う前に確認する方法は簡単で、商品名と目論見書の「ファンドの特色」を見るだけです。ヘッジなしの商品には、たいてい商品名そのものに「為替ヘッジ無し」と入っています。自分がどちらを持っているか分からない人は、まずここを見てください。1分で終わります。

ただし当時、実質的に選択肢はほとんどありませんでした。レバレッジ型のNASDAQ100ファンドで為替ヘッジなしのものは、まだ身近にはなかったからです。その状況が変わったのが2024年です。この話は後半に書きます。

為替ヘッジありは「円ベース」、なしは「ドルベース」で増える

仕組みを一番シンプルに言うと、こうなります。

為替ヘッジあり為替ヘッジなし
リターンの土台円ベースドルベース
円安が進むと恩恵を受けない円建て評価額が押し上げられる
円高が進むと影響を受けない円建て評価額が目減りする
見るべき指標NASDAQ100の値動きだけNASDAQ100の値動き+為替
該当する商品の例iFreeレバレッジ NASDAQ100auAMレバレッジ NASDAQ100 為替ヘッジ無し
為替ヘッジの有無による違い(各ファンドの目論見書・運用会社サイトより/2026年8月時点)

つまりヘッジありは、為替のことを一切考えなくていい代わりに、為替で得することもできない設計です。2022年から2024年にかけて円は約39%安くなりましたが、ヘッジありを持っていた私はその39%を丸ごと見送りました。ヘッジなしを持っていた人は、株価の上昇に加えてこの為替分が乗っています。

これだけ聞くと「ヘッジありは損じゃないか」と思いますよね。私も一時期そう思いました。ただ、話はもう少し複雑です。

為替ヘッジには「保険料」がかかる。しかも目論見書の費用欄には出てこない

ここが、この記事で一番伝えたいところです。為替ヘッジはタダではありません。

ヘッジをかけるコストは、ざっくり言うと日本とアメリカの短期金利の差で決まります。アメリカの金利が高く、日本の金利が低いほど、ヘッジのコストは高くなる。そしてこのコストは、信託報酬とは別枠で、基準価額からじわじわ引かれていきます。

時期為替ヘッジコスト(年率の目安)背景
2024〜2025年4〜5%日米の金利差が大きかった局面
2026年5月時点3.1%FFレート3.64% − 日銀政策金利0.50%
為替ヘッジコストの推移(金利差から算出される概算・時点により変動します)

仮に100万円をヘッジありのファンドで持っていた場合、年3%なら3万円、年4%なら4万円が、株価とは関係なく毎年削られている計算になります。私の+156%という数字は、この保険料を4年間払い続けたうえで出た結果ということです。

💬 実際どうなのか

運用にかかる費用の面でも差があります。私が持つiFreeレバレッジNASDAQ100は年0.99%程度、auAMレバレッジNASDAQ100 為替ヘッジ無しは年0.4334%程度とされています(いずれも2026年時点の各種資料より/最新は必ず公式でご確認ください)。信託報酬等で倍以上の差があり、そのうえヘッジありには金利差ぶんの保険料が乗る。コストだけを見れば、ヘッジなしのほうが明確に軽いというのが実情です。

✅ 対策

自分の持っている商品がヘッジありかなしか、今すぐ確認してください。証券会社の保有一覧から商品名をクリックし、目論見書の「ファンドの特色」で「為替ヘッジ」の記述を探すだけです。1分で終わります。ヘッジコストは日々変動するので数字を暗記する必要はありませんが、「自分は保険料を払っている側なのかどうか」だけは知っておくべきです。

2024年、ヘッジなしのレバナスが登場した。それでも乗り換えませんでした

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

2024年、auAMレバレッジNASDAQ100 為替ヘッジ無しが登場しました。私が持っているものと同じくNASDAQ100の2倍を狙う商品で、為替ヘッジがない。しかも運用コストは年0.4334%と、私が払っている0.99%の半分以下です。

タイミングも印象的でした。2024年といえば円安が最も進んでいた頃です。ヘッジなしを持っていた人が、為替の追い風で評価額をぐんぐん伸ばしていた時期。私の口座はその恩恵をまったく受けていない。目の前に「コストが半分で、しかも今まさに調子が良さそうな選択肢」が現れたわけです。

結論から言うと、乗り換えないことを決めました。ただし即決ではありません。短期的に発生する税金と、長期的に払い続ける為替コスト。この2つを何度も計算し直して、かなり長いこと悩みました。最終的にたどり着いた理由は4つです。

理由①:レバナスの爆発力の前では、為替コストは微々たるもの

誤解のないように書いておくと、私はヘッジコストを「取られている」とは思っていません。払うだけの見返りがあるコストだと判断して、納得して払っています。

レバナスはNASDAQ100の2倍の値動きを狙う商品です。上にも下にも、動くときは一気に動く。私自身、2022年に6割溶かし、そこから+156%まで戻っています。この振れ幅の前では、年3〜5%というコストは正直なところ微々たるものです。

率だけを並べると「年3%は重い」と感じます。でも私が取りに行っているのは、その何倍もの上振れです。年3%を惜しんで設計を崩すより、払って安心して持ち続けられるほうが、最終的な結果は良くなる——4年やってそう考えるようになりました。低コストのインデックスファンド同士で0.1%を削り合うのとは、話の性質が違います。

これは「為替の方向を当てられない」という前提に立った判断でもあります。私は4年やって、為替を予想するのは自分には無理だと結論しました。当てにいかない設計にしたほうが、続けられます。

理由②:株の含み損は戻ると信じられる。為替の含み損はそうではない

ここが、私にとっていちばん大きな理由です。そして、あまり語られないところだと思います。

2022年、私のレバナスは6割溶けました。それでも売らなかったのは、「ナスダックは戻る」と信じられたからです。根拠もありました。中身は世界で稼ぐ企業の集まりで、その企業は利益を伸ばし続けている。株価が下がっても、企業が成長を続ける限りいずれ株価はついてくる。実際、私のレバナスはそこから+156%まで戻りました。

為替は、これとまったく違います。

為替は成長しません。企業のように利益を積み上げて価値を高めていくものではなく、2つの国の力関係を映した相対的な価格でしかない。だから円安が反転したとしても、元の水準まで戻る保証はどこにもありません。「115円まで戻る」と言い切れる人は誰もいない。150円が新しい常識になったまま、それが10年続く可能性だってあります。

💬 実際どうなのか

よく「長期で持てば為替はならされる」と言われますが、私はこれを信じていません。株の下落は「待てば戻る」と思えるが、為替の損は「待っても戻らないかもしれない」。この差は、含み損を抱えている当人にとって決定的です。同じマイナス50万円でも、戻ると信じられる50万円と、戻る根拠が何もない50万円では、耐えられる長さがまるで違います。

しかも為替はトレンドが長い。2022年から2024年にかけて、円は115円あたりから160円あたりまで約3年かけて一方向に進みました。数か月の話ではありません。逆に円高のトレンドに入れば、それも数年単位で続きうるということです。

整理すると、ヘッジなしでレバレッジ商品を持つというのは、こういう状態です。ただでさえ2倍で上下する値動きに、「数年続くうえに元に戻る保証もない損失」が重なる。株価が回復してきているのに評価額が伸びない期間が何年も続き、しかもその為替分がいつ戻るのか誰にも分からない。

私はその状態で握り続けられる自信がありませんでした。年3〜5%のヘッジコストは、この「戻る保証のない損失を、何年も見続けること」を丸ごと消すための費用です。リターンの幅を考えれば、私には見合う買い物でした。

いちばんきついのは「一度見た含み益が、戻らないまま消えること」

もう少し踏み込んで書きます。私が本当に避けたいのは、含み損そのものではありません。一度自分の口座で見た含み益が、為替のせいで剥がれ落ちて、そのまま戻ってこないことです。

仮にヘッジなしでこの4年を過ごしていたら、円安が進むぶん私の評価額はもっと膨らんでいたはずです。そして人間は、一度画面に表示された金額を「自分の資産」として認識します。理屈では「為替で一時的に乗っているだけ」と分かっていても、感覚はそう受け取らない。

問題はそのあとです。円高に振れれば、その上乗せ分は剥がれます。実際には元に戻っただけでも、体感は完全に「減った」です。しかも為替には戻る保証がないので、「あのときの金額に、二度と届かないかもしれない」という状態が何年も続くことになる。株価が順調に伸びていても、口座の数字はあの日のピークに届かない。この状況で積立を続けられる人は、そう多くないと思います。

💬 実際どうなのか

だから私は、為替差益は最初から受け取らないほうが気持ちの面で楽だと考えています。手にしていないものは失いようがありません。ヘッジありなら、円安局面で上振れる喜びもない代わりに、それが剥がれていく苦痛も存在しない。存在しない利益は、奪われません。年3〜5%は、この「奪われる体験」そのものを買わないための費用です。

これは投資の巧拙の話ではなく、自分の性格に合わせた設計の話です。上振れも下振れも含めて全部見ていたい人には、まったく響かない理屈だと思います。

そして私は50歳。「いつか戻る」を待てる時間が、そう長くない

ここまで書いてきた話には、実はもう一つ前提があります。私が今50歳だということです。

「為替はいずれ戻る」という言葉は、待てる時間が十分にある人の言葉です。20代や30代なら、円高トレンドが10年続いても、その後の30年で取り返せるかもしれない。実際そうなる可能性は高いと思います。

では私はどうか。すでに直近の円安トレンドだけで3年動いています。円高のトレンドが同じように数年、あるいは十年単位で続いたとして、そこから元の水準に戻るまでを待つ。正直に言えば、その頃に自分が何歳になっているのか、そもそも生きているのかどうかも分かりません。

⚠️ 年齢によって、この記事の結論は変わります

  • 20代〜30代:為替が戻るのを待つ時間が十分にある。コストの軽いヘッジなしのほうが合理的です
  • 40代:微妙なところ。20年以上運用するつもりなら、まだヘッジなしに分があると思います
  • 50代以降:「いつか戻る」の”いつか”が、自分の運用期間に収まらない可能性が出てきます。私はここで判断が変わりました

若い人が「ヘッジなしのほうが合理的」と言うのは、まったく正しいと思います。ただそれは、時間という一番強い武器を持っている人の合理性です。私にはその武器が、若い人ほどはありません。だから同じ結論にはなりませんでした。

ネットで見かける「レバナスはヘッジなしが正解」という意見を読むときは、その人が何歳で、あと何年運用するつもりなのかまで含めて読むことをおすすめします。前提が違えば、結論は変わって当然です。

理由③:乗り換えには、税金という確定した損失がついてくる

3つ目は、もっと即物的な話です。乗り換えるということは、いま持っているものを一度売るということ。2024年の時点で私のレバナスにはすでに大きな含み益が乗っていました。特定口座でそれを売れば、利益に約20%の税金がかかります。

計算してみると、ヘッジコストを何年か避けるために払う税金のほうが大きくなりました。しかも税金はその場で確定する損失です。ヘッジコストは将来の金利差次第で下がる可能性がありますが、納めた税金は戻ってきません。「コストが高いから乗り換える」は、乗り換えそのもののコストを計算しないと逆効果になります。

逆に言えば、まだ何も持っていない人にはこの制約がありません。これから買う人は、税金を気にせず好きなほうを選べます。その立場は、それだけで有利です。

理由④:松井証券のポイント還元率が、auAMより高かった

最後は地味ですが、私にとっては効いた理由です。松井証券には投資信託を保有しているだけでポイントが貯まる仕組みがあり、この還元率がファンドごとに違います。そして私が持っているiFreeレバレッジNASDAQ100のほうが、auAMレバレッジNASDAQ100 為替ヘッジ無しよりも還元率が高かったのです。

数字を出します。私が持っているiFreeレバレッジNASDAQ100の還元率は年0.435%。乗り換え先の候補だったauAMレバレッジNASDAQ100 為替ヘッジ無しは年0.1845%でした(いずれも2026年8月時点)。

運用コスト松井のポイント還元差引きした実質コスト
iFreeレバレッジNASDAQ100(保有中)0.99%▲0.435%0.555%
auAMレバレッジNASDAQ100 為替ヘッジ無し0.4334%▲0.1845%0.2489%
0.5566ポイント0.3061ポイント
運用コストとポイント還元を差引きした実質コストの比較(2026年8月時点・松井証券で保有した場合)

表面上のコスト差は0.5566ポイント。ところがポイント還元を差し引くと、実質の差は0.3061ポイントまで縮みます。表面の差の約45%が、ポイントで埋まっている計算です。

もちろん、それでもauAMのほうが安い。ここは動きません。ただ「倍以上のコスト差」だと思っていたものが、実際には1.5倍程度の差だった——この事実は、判断のうえで小さくありませんでした。

実際、私の口座には毎月ポイントが入り続けています。直近12か月で受け取った投信残高ポイントは16万1,959ポイント。過去24か月の累計では28万3,504ポイントになりました。現金を追加していないのに、保有しているだけで戻ってくる金額です。これを無視してコスト差だけを比べるのは、片手落ちだと思います。

松井証券のポイント履歴画面。2025年12月〜2026年7月に毎月1万3,000〜1万7,000ポイントの投信残高ポイントを獲得し、全額を先進国株式へポイント投資している
松井証券のポイント履歴(筆者口座)。2025年12月〜2026年7月分。毎月「最大1%貯まる投信残高ポイントサービス」で獲得し、翌月末に全額を先進国株式へポイント投資している

「表面のコスト差が、そのまま実質の差になるわけではない」——これだけで判断がひっくり返るほどではありませんが、迷っていた背中を押す材料にはなりました。

✅ 対策

乗り換えを検討するときは、信託報酬だけを見て決めないでください。①運用コスト ②為替ヘッジコスト ③保有ポイントの還元率 ④売却時の税金——この4つを足し引きして、初めて実質の差が出ます。私はこの4つを並べた結果、乗り換えないという結論になりました。なお還元率は証券会社ごと・ファンドごとに違い、見直されることもあるので、必ず最新の一覧でご確認ください。

正直に言うと、合理性だけならヘッジなしのほうが上だと思っています

ここは隠さずに書きます。数字の期待値だけで比べるなら、ヘッジなしのほうがパフォーマンスは良くなるはずだと私は考えています。

理由は単純で、コストが軽いからです。運用にかかる費用自体が半分以下のうえに、金利差ぶんのヘッジコストも払わなくていい。この差が10年、20年と積み上がれば、無視できない金額になります。長期の期待リターンという意味では、ヘッジなしに分があるでしょう。

それでも私が2024年に乗り換えなかったのは、期待値の勝負に勝つ前に、自分が降りてしまうと思ったからです。どれだけ理屈のうえで有利でも、途中で売ってしまえばその期待値は手に入りません。私にとっては「理論上の最適解」より「自分が最後まで持ち続けられる形」のほうが重要でした。

だからこの記事は、ヘッジありをすすめる記事ではありません。合理性ではヘッジなしが上。それを承知で、私は自分のメンタルに合わせて非合理な選択をしている。そう読んでもらうのが正確です。為替の値動きを平気で見ていられる人なら、迷わずヘッジなしでいいと思います。

一方で、私はヘッジ「なし」の商品も持っています

ここからが、この記事のもうひとつの本題です。私はヘッジありを持ち続けながら、同時に為替ヘッジなしの商品も持っています。新NISAの枠で買っているiFreeNEXT FANG+インデックスです。こちらはヘッジがかかっていません。

なぜ分けているのか。私がいちばん怖いのは、実は株の下落ではないからです。円で持っているお金の価値が、円安でじわじわ削られていくことのほうが怖い。銀行に置いた100万円は、額面は100万円のまま減りません。でも円が安くなれば、そのお金で買えるものは確実に減っていきます。ここ数年、輸入品の値上がりで誰もが体感したはずです。

だから、預金として置いておくつもりのお金の一部を、ヘッジなしのFANG+に置いています。円が安くなれば円建ての評価額は押し上げられるので、円の目減りに対する備えとして機能します。

円安side=ヘッジなし、円高side=ヘッジあり。両建てにするという考え方

整理すると、私の保有はこうなっています。

商品為替ヘッジ口座円安が進むと円高が進むと私の役割設定
iFreeレバレッジNASDAQ100あり特定恩恵なし影響なし攻め・長期
NASDAQ100トリプル(マルチアイ搭載)原則あり特定・旧NISA恩恵なし影響なし攻め・長期
iFreeNEXT FANG+インデックスなし新NISA評価額が押し上げられる評価額が目減りする守り・短期〜中期
筆者の保有3本と為替ヘッジの有無(2026年8月時点)

円安に振れれば、ヘッジなしのFANG+が効く。円高に振れれば、ヘッジありのレバナスとトリプルが為替で削られずに済む。どちらに転んでも片方が効く形にしてあります。

これは「為替を当てにいかない」ための設計です。当てられるなら片方に寄せたほうが儲かります。でも私は当てられない。当てられない前提で、どちらに転んでも生き残る形を作るほうが、自分には合っていました。

✅ 対策

いま持っている商品を紙に書き出して、それぞれ「ヘッジあり」「ヘッジなし」を書き添えてみてください。全部ヘッジありなら円安の恩恵をまったく受けられない状態、全部ヘッジなしなら円高で全体が同時に目減りする状態です。どちらかに全部寄っていることに気づくだけでも、この記事を読んだ価値があります。寄せるか分けるかは、そのあとで決めればいい話です。

ヘッジありを持ち続けるかどうかの判断軸

⚠️ 以下に当てはまる方は慎重に検討してください

  • ヘッジコストが年3〜5%かかっていると知って、リターンに見合わないと感じる人
  • 戻る根拠のない含み損を、淡々と見ていられる人(それができるならコストを払う必要はありません)
  • 一度見た含み益が為替で剥がれても、気にせず積立を続けられる人
  • 運用できる期間が20年以上ある人(為替が戻るのを待てる時間があります)
  • 期待値の高さを最優先する人(コストが軽いぶん、長期ではヘッジなしに分があります)
  • 資産のほぼ全部がヘッジありで、円安の恩恵をまったく受けられない状態の人
  • これから買い始める人(すでに持っている人と違い、乗り換えの税金がかからないので選び直せます)
  • コストの低さを最優先したい人(ヘッジなしのほうが明確に軽い)

✔️ 以下の方に向いています

  • 10年以上のスパンで持つつもりで、途中の為替を無視したい人
  • レバレッジ型の値動きだけでも十分大きいと感じている人(変数を増やしたくない)
  • 「いつ戻るか分からない損失」を何年も見続けるのがつらい人
  • 一度手にした含み益が減っていくのが、損失以上にこたえる人
  • 50代以降で、為替が戻るのを待つ時間が限られている人
  • 期待値より「途中で降りないこと」を優先したい人
  • すでに含み益が大きく、乗り換えの税金がヘッジコストを上回る人
  • 別にヘッジなしの資産を持っていて、方向を分けたい人
  • 為替の予想を自分にはできないと割り切っている人

後悔しない選び方は「どちらが増えるか」では決まらない

最後に、4年やって思うことを書きます。ヘッジありとなしを「どちらが増えるか」で選ぼうとすると、絶対に決まりません。為替の先行きが分からない以上、どちらが有利かは事後にしか分からないからです。

代わりに私がすすめたい基準は、「戻る根拠のない含み損を、何年も見ていられるか」です。

株の含み損には物語があります。企業が成長すればいずれ戻る、と自分に言い聞かせられる。だから耐えられる。為替の含み損には、その物語がありません。「なぜ円高になったのか」を説明することはできても、「いつ、どこまで戻るのか」は誰にも言えない。しかもトレンドは数年続きます。株価の暴落と違って劇的な底打ちの瞬間が来ないぶん、じわじわ効いてくる種類のつらさです。

レバレッジ型は、それ自体が値動きの大きい商品です。そこに「戻る根拠のない損失」をもう1つ足せるかどうか。足せないと思うなら、ヘッジコストは無駄な出費ではなく、自分を降ろさないための必要経費です。逆に、為替の含み損を淡々と見ていられる人なら、コストの軽いヘッジなしのほうが合理的です。繰り返しますが、期待値だけならそちらが上だと私も思っています。

私は「株価だけ見る商品」と「為替も乗る商品」を1本ずつ持つことで、どちらの気分の日にも対応できるようにしました。遠回りに見えますが、4年続いているのはこの形にしたからだと思っています。

ヘッジコストが効いていると実感したのは、2022年の暴落中でした

年3〜5%という数字だけを見れば重いコストです。それでも「払っていてよかった」とはっきり実感した時期があります。2022年です。

あの年、私のレバナスは6割溶けました。毎日口座を開くたびに、評価額が数十万円単位で減っていく。あれは本当にきつかった。もしあのとき、株価の下落に加えて為替まで毎日気にしていたら、私はたぶん売っていました。

暴落のさなかに「今日は株が下がったが為替で少し戻した」「今日は株も為替も両方マイナス」と2つの変数を追いかけるのは、想像以上に消耗します。ヘッジありのおかげで、私が見る数字は1つで済んだ。

そして重要なのは、あの下落が「戻ると信じられる下落」だったことです。ナスダックが下がっているだけなら、企業が成長を続ける限りいずれ戻ると思える。実際に戻りました。もしあの6割減に、戻る根拠のない為替の損が上乗せされていたら、私の判断は変わっていたはずです。

コストの計算は数字でできますが、「売らずにいられたかどうか」は数字に出ません。そして最終的な結果を決めるのは、年数%のコスト差ではなく、売らずに持ち続けられたかどうかのほうです。だから私は、このコストをリターンに見合うものとして受け入れています。

よくある質問

Q. ヘッジありとヘッジなしを両方買うのはアリ?

A. 私はそうしています。ただし「なんとなく両方」ではなく、どちらがどちらの方向を担当するのかを決めてから買ってください。決めずに両方持つと、為替がどちらに動いても片方が負けている状態が気になって、結局どちらかを売ってしまいます。

Q. 自分のヘッジコストは、どこで確認できる?

A. 「あなたのヘッジコストは年◯円です」と書かれた明細はありません。信託報酬のように率が固定されているものではなく、日米の短期金利差で日々変わるからです。目安を知りたい場合は、アメリカの政策金利から日本の政策金利を引いた数字を見てください。2026年5月時点なら3.64%−0.50%で約3.1%です。運用報告書に為替ヘッジに関する記載がある場合もあるので、あわせて確認すると精度が上がります。

Q. 新NISAでヘッジなしのレバナスは買える?

A. 買えません。ヘッジの有無にかかわらず、レバレッジ型の投資信託は新NISAの対象外です。つみたて投資枠だけでなく、比較的自由度の高い成長投資枠でも対象になりません。デリバティブを用いる一定の投資信託が除外されているためです。私が新NISA枠でFANG+を買っているのも、まさにこの制約が理由です。

Q. 円高になったら、ヘッジなしのFANG+は売るべき?

A. 私は売りません。両建てにしている意味がなくなるからです。円高で目減りするのは織り込み済みで、そのときはヘッジあり側が削られずに済んでいる、という設計にしてあります。為替が動くたびに片方を売っていたら、それは両建てではなく為替の予想売買です。私はそれができないと判断したので、この形にしました。

Q. これから買うなら、どちらを選ぶ?

A. 私がゼロから買い直すとしたら、コストの軽いほうから検討します。すでに含み益が乗っている私は乗り換えの税金があるので動けませんが、これから買う人にはその制約がありません。選び直せる立場は、それだけで有利です。そのうえで「為替も含めて見ていられるか」「一度乗った含み益が剥がれても平気か」を自分に聞いて決めてください。私が2024年に乗り換えなかったのは、その2つに自信がなかったからです。

📝 まとめ

  1. iFreeレバレッジNASDAQ100は「為替ヘッジあり」。円安が進んでも恩恵を受けない設計。私は2021年の購入時点でそれを理解して選んだ
  2. 2024年にヘッジなし・コスト半分以下の選択肢(auAM)が登場したが、乗り換えないことを決めた
  3. ヘッジには日米金利差ぶんの保険料がかかる(2026年5月時点で年約3.1%、2024〜2025年は年4〜5%)
  4. このコストは信託報酬とは別枠で、費用欄には出てこない
  5. ヘッジなしの選択肢(auAM)は運用コスト自体も軽い。ただし為替で上下する
  6. 期待値だけならヘッジなしのほうが上だと私も思っている。コストが軽いぶん、長期では差が開く
  7. それでもヘッジありを選んだのは、株の含み損は「戻る」と信じられるが、為替の含み損は戻る根拠がないから。為替は成長しないので元の水準に戻る保証がない
  8. しかも為替のトレンドは数年単位。レバレッジ2倍の値動きに「戻る保証のない損失」が数年重なると、私は持ち続けられないと判断した
  9. ★いちばん避けたいのは「一度見た含み益が剥がれて、二度と戻らない」体験。為替差益は最初から受け取らないほうが気持ちの面で楽。存在しない利益は奪われない
  10. ★私は50歳。「いつか戻る」の”いつか”が、自分の運用期間に収まらない可能性がある。若い人の「ヘッジなしが合理的」は、時間という武器を持っている人の合理性
  11. レバナスの爆発力の前では、年3〜5%のコストは微々たるもの。低コスト同士で0.1%を削り合う話とは性質が違う
  12. 松井証券のポイント還元率はiFreeのほうが高く、表面のコスト差を一部埋めていた
  13. 年3〜5%は、自分を途中で降ろさないための費用。理論上の最適解より、最後まで持ち続けられる形を選んだ
  14. 代わりに新NISAではヘッジなしのFANG+を持ち、円安side・円高sideを両建てにしている
  15. 選ぶ基準は「どちらが増えるか」ではなく「自分が見ていられる変数の数」

まずは自分の保有商品がどちらなのかを確認するところからです。全部が同じ側に寄っていたなら、それが今日いちばんの収穫だと思います。

なお、私がヘッジなし側に選んだFANG+については、新NISAでの買い方と「金融資産の何割にしているか」を別の記事で全部開示しています。レバナスが新NISAで買えないと知って止まっている方は、あわせて読んでみてください。

※本記事は筆者個人の運用体験に基づく記録であり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。レバレッジ型投資信託は大きな元本割れリスクを伴います。為替ヘッジコスト・信託報酬等の数値は記事内に記載した時点のものであり、金利情勢等により変動します。最新の情報は必ず各運用会社の目論見書でご確認ください。最終的な投資判断はご自身の責任と判断で行ってください。

子供3人の5人家族を1馬力で支える50代・営業職の会社員。「固定費削減 × 時短家電 × 資産運用」で暮らしの質(QOL)を高める工夫を、実体験ベースで発信しています。新NISA(松井証券)・iDeCoを運用中。副業にも取り組み、一次情報と自分で試した結果を数字で記録することを大切にしています。

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