「FANG+は米国集中で危険」への反論|オルカンも63%はアメリカでした【4年保有者の答え】

FANG+の米国100%とオルカンの米国63.0%を比較したアイキャッチ画像 資産運用・節税

前回「FANG+は分散が足りないのか」という記事を書いたとき、私は自分で3つの穴を挙げました。①法人は10社とも米国籍だからカントリーリスクは分散されない ②設備投資112兆円はほぼ全部AI向けで、賭けている対象は1つ ③経営判断のミスは分散されない——の3つです。

書いたあとで、自分の中に引っかかりが残りました。①と②は、本当に「穴」なのか。

横浜市在住、50歳の営業職。子供3人を1馬力で養う会社員です。2021年からレバナスを積み立て、2024年からは新NISAでFANG+を買っています。今回は自分で挙げた穴に、自分で反論します。調べ直したら、思っていたより手強い反論になりました。

📋 この記事でわかること

  • ★反論①:本社が米国でも、事業は世界中にある。「本社の住所」と「稼ぐ場所」は別
  • ★そして決定打:オルカンも63.0%はアメリカでした(公式月報の実数)
  • ★反論②:AIはもうセクターではなく、全産業のインフラになりつつある
  • オルカンの業種構成も、情報技術31.0%+コミュニケーション7.8%=約39%がテック系
  • 「テックを避ける」ことが、そもそも構造的にできなくなっている話
  • それでも残る本当のリスク(ドットコムの教訓と、修正が効くまでの最大3か月)

反論①:本社が米国でも、事業は世界中にあります

前回はこう書きました。「世界中に工場やデータセンターがあっても、本社と納税地と上場市場は全部アメリカ。米国の税制が変わる、独占禁止法で分割される、輸出規制がかかる——こうしたときは10社まとめて影響を受ける」と。

事実としては正しいのですが、「だから1か国に集中している」と言い切るのは乱暴だったと思い直しました。

この10社は登記上こそ米国法人ですが、実態は各国に現地法人を持ち、各国で人を雇い、各国の通貨で売上を立てている多国籍企業です。前回並べた米国外売上比率をもう一度見てください。

企業米国外の売上比率
Broadcom約72%
Meta約61%
Apple約57%
Netflix約56%
Alphabet約52%
Microsoft48.7%
各社の直近の年次開示より(開示の基準は各社で異なります)

売上の半分以上が米国の外で立っている会社を「アメリカの会社」の一言で括るのは、実態から離れています。トヨタを「日本市場の会社」と呼ぶ人がいないのと同じです。

「米国が沈んだら」と言うとき、多くの人が想像しているのは米国経済の停滞だと思います。でも米国経済が停滞しても、ヨーロッパやアジアでiPhoneが売れなくなるわけではありません。Microsoftのクラウドをドイツの製造業が使うのをやめるわけでもない。事業の足が各国に生えている以上、米国の景気だけでは倒れません。

💬 実際どうなのか

規制についても、実は「まとめて全滅」しにくい構造があります。規制は各国がバラバラに、別々のタイミングで、別々の内容で来るからです。EUのデジタル規制、米国の反トラスト、各国の税制——同時に全部が最悪の方向に振れる確率は、思ったほど高くありません。むしろ多国籍であることが、規制リスクを分散させている面があります。

★決定打:オルカンも63.0%はアメリカでした

そして、ここが今回いちばん書きたかったところです。

「FANG+は米国に集中しているから、オルカンで国を分散すべきだ」——この主張を検証するために、オルカンの公式月次レポートで国別の構成比を確認しました。結果がこれです。

順位国・地域比率
1アメリカ63.0%
2日本5.1%
3台湾3.1%
4イギリス3.0%
5カナダ2.9%
6韓国2.8%
7フランス2.1%
8スイス2.0%
9ドイツ1.8%
10オーストラリア1.4%
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の組入上位10ヵ国・地域(2026年6月30日基準の月次レポートより。組入銘柄数2,416)

全世界に分散されているはずのオルカンも、3分の2近くがアメリカです。2位の日本が5.1%、3位の台湾が3.1%。1位と2位で58ポイントも差があります。

つまり「オルカンにすれば米国のカントリーリスクを避けられる」は成立しません。米国が本当に沈むような事態になれば、オルカンも6割強を持っていかれます。差は「100%か63%か」であって、「集中しているか、していないか」ではない。程度の問題です。

✅ 対策

本気で米国のカントリーリスクを薄めたいなら、オルカンでは足りません。先進国株(除く米国)や新興国株のファンドを、意図的に別枠で買う必要があります。「オルカンを持っているから国は分散できている」と思っているなら、一度ご自身の月次レポートで国別比率を見てみてください。想像より米国が多いはずです。

反論②:AIはもうセクターではなく、全産業のインフラです

前回はこう書きました。「4社の設備投資112兆円は、ほぼ全部がAIインフラ向け。地理的には分散していても、賭けている対象は1つ。これは分散ではなく、同じ賭けを10回している状態に近い」と。

これも、前提を疑い直しました。AIは、本当に「1つのセクター」なのか。

電気に投資するのは「電力セクターへの集中投資」か

たとえば1900年代の初め、電力インフラに投資することを「電力セクターへの一点賭け」と呼ぶのは正しかったでしょうか。電気は特定の業種のものではなく、あらゆる産業が乗る土台になりました。鉄道も、電話も、インターネットも同じ道をたどっています。

2000年に「インターネット関連に投資するのは分散じゃない」と言った人は、方向としては間違っていました。今、インターネットを使わない産業を探すほうが難しい。あれは業種ではなく、全産業の下に敷かれた土台になりました。

AIも同じ道を進んでいるのではないか——というのが私の見方です。112兆円で建てられているデータセンターを使うのは、テック企業だけではありません。外観検査を自動化する製造業、診断を支援する医療、不正検知と与信をやる金融、在庫と接客を回す小売。クラウドの請求書を払っているのは、全産業です。

だとすれば「AIに賭けている」は「テックというセクターに賭けている」ではなく、「全産業が使う土台に賭けている」と読むほうが実態に近い。少なくとも、そう読む余地はあると思っています。

そもそも「テックを避ける」ことが、もうできません

これも月次レポートを見て気づいたことです。オルカンの業種構成を見ると、情報技術が31.0%、コミュニケーション・サービスが7.8%。合わせて約39%がテック系です。

順位業種比率
1情報技術31.0%
2金融16.0%
3資本財・サービス10.8%
4一般消費財・サービス8.6%
5ヘルスケア8.3%
6コミュニケーション・サービス7.8%
オルカンの組入上位業種(2026年6月30日基準・GICS分類)

「全世界に分散する」ことを選んでも、気づけば4割近くがテックに寄っています。これは運用会社が偏らせているのではなく、時価総額で並べると自然にそうなるからです。

つまり「テックに偏りたくない」という願望は、もう市場の構造と噛み合っていません。本気で避けたいなら、均等加重やバリュー系のファンドを意図的に選ぶしかない。オルカンを買うことは、テック回避の手段にはなりません。

それでも残る論点と、自分の訂正が3つ

ここまで自分の反論を書いてきましたが、都合のいいところだけ拾っても意味がないので、残る論点も書きます。1つは前回の自分の書き方が不正確だったので、訂正です。

① ドットコムの教訓:テーマが正しくても、銘柄は死ぬ

これがいちばん重い反証です。「インターネットは全産業のインフラになる」という2000年の読みは、完全に正しかった。それでも、当時その予測に賭けて買われた企業の多くは消えました。

つまり「テーマが当たること」と「その銘柄が生き残ること」は別問題です。AIが全産業のインフラになるという読みが正しかったとしても、今の10社がその果実を取るとは限りません。インフラを敷いた会社ではなく、その上で商売をした会社が勝つ、という展開も普通に起こります。

💬 実際どうなのか

ただしFANG+の場合、失速した銘柄は指数のルールで実際に外されています。Snowflakeは約1年9か月、CrowdStrikeは約1年半、ServiceNowは約1年3か月で入れ替わりました。
つまり「銘柄が死んでも、指数は死なない」設計にはなっている。ドットコムのときに個別株を持っていた人と、指数を持っていた人では、結果がまったく違いました。ここは思っていたより耐性があります。

② 「全産業のインフラ」は、まだ完了していない

私は「AIは全産業のインフラになりつつある」と書きましたが、「なった」とは書いていません。現在進行形です。

実際、日本国内のAI活用率は、常用雇用者100人以上の企業でも全産業平均で2割弱という調査があります。112兆円という投資は「これから全産業が使うはずだ」という前提の上に乗っているわけで、その前提が想定より遅れれば、投資は先に膨らんで回収が後ろにずれます。

電気もインターネットも、最終的には全産業のインフラになりましたが、そこに至るまでに何度も過剰投資と反動を繰り返しています。方向が正しいことと、途中で大きく凹まないことは別です。

③ 穴③は「自動修正がない」ではなく「効き方が違う」でした

前回、私は「10銘柄のFANG+には自動修正が効かない」と書きました。ここは書き方を訂正します。

さきほど挙げたSnowflakeやCrowdStrikeが外されたこと、あれ自体が自動修正が働いた結果です。指数のルールが、失速した銘柄を機械的に排除している。「修正機能がない」というのは事実に反していました。

正確に言うと、FANG+には修正が二層で入っています。しかも上下の層で向きが逆です。

FANG+の動き向き
銘柄の入れ替え(年4回)失速した銘柄を外し、勢いのある銘柄を採用順張り
ウェイトの調整(四半期ごと)下がった銘柄を10%まで買い戻す逆張り
FANG+の修正は二層構造で、上下が逆を向いている

これに対してオルカンは一層だけです。時価総額加重なので、下がった銘柄の比率が毎日なめらかに下がっていく。順張り一本で、判断のタイミングという概念がありません。

オルカンFANG+
修正の方式比率が連続的に下がる四半期ごとに入れ替える
速さ毎日・遅れなし最大3か月の遅れ
強さ弱い(小さくなるだけで消えない)強い(除外される)
下落中の動き放っておかれる10%まで買い戻される
同じ「自動修正」でも中身が違う

こうして並べると、どちらが優れているとは言えません。FANG+の除外は強力ですが遅い。オルカンの減衰は速いですが、ダメな会社もずっと持ち続けます。

⚠️ 本当に痛いのは、外されるまでの期間です

問題は「修正されるかどうか」ではなく、修正されるまでの間に何が起きるかでした。
失速した銘柄は、外されるまでの1年半ほどのあいだ、四半期ごとに10%まで買い戻され続けます。下がっている銘柄を機械的にナンピンし続けるということです。しかも外すときは十分に下がったあと。結果として「高く買って、安く売る」形になりやすい。
私が前回「自動修正が効かない」と感じたのは、正確にはこのタイムラグとナンピンのコストのことでした。

結局、どう整理したか

2つの反論を書いて、私の中ではこう整理がつきました。

前回書いた「穴」今回の結論
①米国籍だからカントリーリスクは分散されないほぼ反論できた。事業は世界中にあり、そもそもオルカンも63%はアメリカ
②AIという1つの対象に賭けている半分反論できた。AIはセクターではなく全産業のインフラ。ただし「まだ進行中」
③経営判断のミスは分散されない言い方を訂正。修正機能はある(実際にSnowflake等は除外された)。問題は外れるまでのタイムラグとナンピン
自分で挙げた穴に、自分で答えた結果

よく言われる「FANG+は米国とテックに集中しすぎ」という批判は、言葉ほど強くありません。オルカンを買っても63%はアメリカで、4割近くはテックだからです。違いは程度であって、種類ではない。

残る本当の違いは「自動修正の効き方」——ここに集約されると思っています。どちらにも修正機能はある。オルカンは速いが弱く、FANG+は強いが遅い。分散の議論としては、国でも業種でもなく、ここだけが本質でした。

✔️ だから私はこうしています

  • FANG+は金融資産の8%程度まで。修正が効くまでに最大3か月のタイムラグがあるぶん、量で調整する
  • 「国の分散」を目的にオルカンを足すことはしない(63%はアメリカなので目的を果たさない)
  • 本気で国を分散したいときは、先進国株(除く米国)や新興国株を別枠で買う
  • 為替は当てにいかず、ヘッジあり・なしを両建てにしておく

なお、この2本ともNISA枠と特定口座に分けて持っています。同じ商品でも「どこの証券会社で持つか」で戻ってくる金額が変わるので、置き場所だけは早めに決めておくことをおすすめします。

よくある質問

Q. オルカンの米国比率63%は、これからも変わりませんか?

A. 変わります。時価総額加重なので、米国以外の市場が伸びれば米国比率は自然に下がります。実際、過去には6割を下回っていた時期もあります。ただし「自分で下げる」ことはできません。比率を決めているのは市場であって、あなたでも運用会社でもないからです。意図的に下げたいなら別ファンドを足すしかありません。

Q. 「AIは全産業のインフラ」なら、FANG+を買えば安心ですか?

A. いいえ。この記事でいちばん誤解されたくない点です。テーマが正しくても銘柄が生き残るとは限らないのが、ドットコムの教訓でした。インフラを敷く側が儲かるのか、その上で商売する側が儲かるのかも、まだ決着していません。「方向が正しい」と「この10社が勝つ」の間には、大きな距離があります。

Q. じゃあオルカンは意味がないということですか?

A. まったく違います。オルカンの本当の価値は「国の分散」ではなく「修正の速さ」だと思っています。判断を誤った会社の比率が、翌日から下がっていく。FANG+にも修正はありますが、外れるまで最大3か月かかり、その間はむしろ買い増されます。買う理由を「国の分散」だと思っていると、価値を取り違えます。

Q. 自分のファンドの国別・業種別比率はどこで見られますか?

A. 運用会社が毎月出している月次レポートに載っています。この記事の数字も、すべてそこから取りました。証券会社のファンド詳細ページからPDFで開けます。年に1〜2回でいいので、国別と業種別の上位10を見ておくと、自分が何を持っているのかがはっきりします。

まとめ

📝 まとめ

  1. 前回、自分で挙げた3つの穴のうち、①と②に自分で反論した
  2. ★反論①:本社が米国でも事業は世界中。Broadcomは約72%、Metaは約61%、Appleは約57%が米国外の売上
  3. 米国経済が停滞しても、欧州やアジアでiPhoneが売れなくなるわけではない
  4. 規制は各国がバラバラに来るので、多国籍であることがむしろ規制リスクを分散させている面がある
  5. ★決定打:オルカンも63.0%はアメリカ(2026年6月30日基準)。2位の日本は5.1%
  6. 「オルカンにすれば米国リスクを避けられる」は成立しない。違いは100%か63%かという程度の差
  7. ★反論②:AIはセクターではなく全産業のインフラになりつつある。電気やインターネットと同じ道
  8. 112兆円のデータセンターを使うのは、製造・医療・金融・小売——つまり全産業
  9. オルカンの業種構成も情報技術31.0%+コミュニケーション7.8%=約39%がテック系。テック回避はもう構造的にできない
  10. ⚠️ ドットコムの教訓:テーマが正しくても銘柄は死ぬ。ただしFANG+は入替で銘柄を外すので、「銘柄が死んでも指数は死なない」設計にはなっている
  11. ⚠️「全産業のインフラ」はまだ進行中。日本のAI活用率は100人以上の企業でも全産業平均で2割弱
  12. ★穴③は言い方を訂正。Snowflake等が除外されたこと自体が修正機能が働いた証拠。FANG+の修正は二層構造で、銘柄入替は順張り・ウェイト調整は逆張り
  13. ⚠️ 本当に痛いのは「外されるまでの最大3か月」。その間、下がった銘柄は10%まで買い戻され続ける=ナンピン
  14. 残る本当の違いは「自動修正の効き方」だけ。オルカンは速いが弱く、FANG+は強いが遅い
  15. だから私はFANG+を金融資産の8%程度に抑えている

「集中しすぎ」と言われたら、まず自分の持っているファンドの国別・業種別の上位10を見てください。想像より偏っているはずです。

自分で書いた穴に自分で反論するのは、正直あまり気持ちのいい作業ではありませんでした。それでもやってよかったのは、「分散」という言葉を無条件に善だと思っていたことに気づけたからです。国を分けることと、リスクが下がることは、同じではありませんでした。

※本記事は筆者個人の運用体験と、運用会社および各社が公表している資料に基づく記録であり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。構成比率・売上の地域別内訳・設備投資額は記事内に記載した時点のものであり、今後変更されます。最新の情報は必ず各運用会社の月次レポートおよび各社のIR資料でご確認ください。最終的な投資判断はご自身の責任と判断で行ってください。

子供3人の5人家族を1馬力で支える50代・営業職の会社員。「固定費削減 × 時短家電 × 資産運用」で暮らしの質(QOL)を高める工夫を、実体験ベースで発信しています。新NISA(松井証券)・iDeCoを運用中。副業にも取り組み、一次情報と自分で試した結果を数字で記録することを大切にしています。

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