学資保険もiDeCoも持ち家も選ばなかった|20年使っている判断基準は「選択肢が増えるか」だけです

学資保険・iDeCo・持ち家を見送り、出口が多いNISAに寄せた20年の判断基準を示すアイキャッチ 家計と税金

学資保険に入らなかった。
iDeCoもやってない。
塾にも通わせず、家も買ってない。

個別に聞かれると、毎回ちがう理由を答えてた。

でも50歳になってまとめて並べてみたら、全部おなじ一本の基準から出てたことに気づいた。

この記事は、その基準の話。

節約術でも投資手法でもない。

お金の使い道で迷ったときに自分に投げてる、たったひとつの質問について。

結論:買う前に聞いてるのは、この一問だけ

その選択は、5年後の自分の選択肢を増やすのか、減らすのか。

増えるなら、多少高くても買う。
減るなら、どれだけ条件がよく見えても見送る。

利回りでも節税額でもなく、これで決めてる。

なんでこの一問なのか。
将来ほしいものが自由だから。

ただし、ここで言う自由は、好き勝手に生きるって意味じゃない。

「自由がほしい」の意味を、20年かけて言い直した

40代で投資を始めたころ、漠然と「自由になりたい」と思ってた。

当時はそれを「働かなくていい状態」だと考えてたけど、いま同じことを言葉にするとこうなる。

自由とは、選択肢が手元に残ってる状態のこと。

働かない自由がほしいんじゃない。
働くか働かないかを、そのとき自分で決められる状態がほしい。

子供に大学へ行ってほしいんでもなく、行くか行かないかを本人が選べるようにしておきたい。

使うかどうかは、そのとき決めればいい。
持ってること自体が目的。

精神論に聞こえるかもしれない。

でも実は、お金の世界にはこの考え方にきちんと値段をつける仕組みがある。

なぜ選択肢そのものに値段がつくのか|オプションという考え方

株の世界にオプションって商品がある。

ざっくり言うと「将来この値段で買ってもいい(買わなくてもいい)権利」。

おもしろいのは、結局その権利を使わなかったとしても、権利そのものに値段がついてるってところ。

市場では、選べるという状態それ自体が、お金を払ってでも手に入れたいものとして扱われてる。

しかも将来の不確実性が高いほど、その値段は上がる。
先が読めないときほど、選べることの価値が上がるってこと。

自分がやってきたのは、この考え方を家計に持ちこんだだけ。

20年先に自分や子供が何を選ぶのか、まるで見当がつかなかった。
だから、いま少し損をしてでも選べる状態を残すほうに寄せてきた。

念のため書いておくと、オプション取引という金融商品を買おう、って話じゃない。

自分もオプション取引はしてない。
ここで借りてるのは考え方だけ。

「出口がひとつしかない」を理由に見送ったもの

入らなかったもの、やらなかったことを並べると、共通点はひとつ。

契約した時点で、将来の使い道がひとつに固定されるってこと。

見送ったもの使える出口代わりにやったこと
学資保険教育費のみNISAで積立
生命保険・医療保険(掛け捨ての最低限を除く)死亡・入院のみ現金と証券口座
塾進学という結果のみ同額をNISAへ
住宅ローン・持ち家その家に住み続ける場合のみ賃貸を継続
iDeCo60歳以降の老後資金のみNISAに一本化
消耗品が必要な家電その消耗品を買い続ける前提消耗品のいらないモデル

どれも商品として悪いって意味じゃない。
出口が決まってるかどうか、その一点だけで並べた表。

むしろ、使う出口がはっきりしてる人には、決め打ちしたほうが効率がいい。
自分にはその「はっきり」がなかった、ってだけの話。

なかでも判断に迷ったものを3つ、個別に書いておく。

iDeCo:節税は魅力だったけど、出口が難しすぎた

いちばん長く迷ったのがiDeCo。

掛金が全額所得控除になるから、節税効果だけ見れば明らかに有利。

それでも見送ったのは、出口が四重に固定されてると感じたから。

ひとつ。原則60歳まで引き出せない。
子供3人の教育費が重なる時期に、いっさい触れない資金を作ることになる。

ふたつ。加入期間によっては60歳で受け取れない。

みっつ。受け取り方(一時金か年金か)で税額が変わって、退職金の受け取り時期とも噛み合わせがいる。

よっつ。やめたいと思っても原則やめられない。

つまりiDeCoは、入口で節税というプレミアムを受け取る代わりに、出口の自由度を売り渡す取引だと理解した。

これは損得の話じゃなく、自分の基準に合わなかったってだけ。

判断の詳細はiDeCoとNISAはどっちが先?50歳の私がiDeCoをやらなかった理由に書いてる。

住宅ローン:不動産は、捨てられないのが問題だった

転勤のある仕事をしてたから、そもそも持ち家を持つ意味がなかった。

ただ、仮に一括で買える資金があったとしても、たぶん買わない。

ローンがイヤなんじゃなく、不動産は捨てられないのが問題。
住まなくなっても残るし、売るにも時間と相手がいる。
出口を自分の都合だけで決められない。

寝るための場所に、そこまで動かしにくいものを充てたくなかった。

塾:大学に行くという結果にしか使えない投資だった

教育を軽く見てたわけじゃない。
いま出すべき投資は塾じゃなくNISAだと判断した結果。

塾代は進学という一つの結果にしか使えない。
NISAは、進学するならその費用になり、しないなら働き始めたときの元手になる。

結果、長男は塾なしで指定校推薦を取って、大学へ進んだ。
「大学」という出口にも、その備えはちゃんと使えた(学資保険に入らず子供3人を育てた結果)。

逆に、高くても買ったもの

この基準は「安く済ませる」ための基準じゃない。
選択肢が増えるなら、高くても買う。

買ったもの増えた選択肢
ダイソンのコードレス掃除機(59,800円)消耗品が不要で、壁掛けに戻すだけで充電される。「気づいたときに30秒だけ掃除する」ができるようになった
arasの樹脂食器乾きが早く、水切りラックが詰まらない。一日に何度でも小さく洗える形になり、食洗機を買わずに済んだ
NISA(どの出口にも使える器)進学・住宅・老後・独立、どれに転んでも使える

掃除機は、安いモデルを2台壊してからダイソンに行き着いた。

金額の差以上に効いたのは、消耗品の在庫が判断を縛らなくなったこと。

紙パックが残ってるあいだは「もったいないから使い切ってから」という会話が何度も出た。
壊れてないぶん、たちが悪い(コードレス掃除機を4年で3台買いました)。

食洗機は、買うつもりで調べたうえで見送った。
シンクに食器がたまる原因が、洗う時間じゃなく水切りラックのキャパだったから。

調べたうえで見送るのと、調べずにあきらめるのとじゃ、同じ「買わない」でも意味がまるでちがう(食洗機を買うつもりで調べて、買いませんでした)。

もうひとつ、金額の話じゃない例。

賃貸の火災保険を入り直したとき、月額払いのネット完結型を選んだ。

この手の保険は入居時に2年ぶんを一括前払いする形が多くて、総額ではそっちが安く見えることもある。

それでも月額にしたのは、やめたいときに翌月からやめられるから。

一括前払いだと、引っ越しても、もっといい商品を見つけても、解約と返戻の手続きがはさまる。
手間がかかるとわかってると、そもそも見直す気が起きない。

月額なら、乗り換えの判断をいつでもできる状態のまま置いておける。

入るときに、やめ方まで決まってるかどうか。
これも同じ基準(クレジットカードの個人賠償責任保険はいくら?3つの器を比べて火災保険に決めた理由)。

この保険には、もうひとつ効いた性質がある。
補償を必要に応じて足したり外したりできること。

おかげで、家財の補償額を決めるときに迷わずに済んだ。
自分には過剰かもしれないと思いつつ、ひとまず多いほうを選んでる。
不要だとわかった時点で下げられるから。

ここがいちばん腑に落ちた。

選択肢を残しておくと、決めること自体が軽くなる。
あとで変えられない前提だと、人は決断を先送りするか、無難な側に寄せすぎる。

この基準には、弱点もある

都合のいいことばかり書いてもしかたないので、自分でわかってる穴を並べる。

1. 選択肢を残すこと自体に、コストがかかってる

iDeCoの所得控除も、生命保険料控除も、使ってない。

毎年、確実に手に入ったはずの節税額を捨ててるってこと。

選べる状態を維持するために払ってる保険料みたいなもので、決して無料じゃない。

このうち生命保険料控除のほうは、実際に何円戻るはずだったのかを「保険料控除があるから得」を自分の年末調整で計算し直した記事で確かめてる。

2. 一度も使わずに終わる可能性がある

オプションは、使わなければただのコスト。

子供3人のジュニアNISAも「進退窮まったときの保険」として用意したもので、使わずに済むならそれがいちばんいい。

ただ、何も起きなければ、払ったぶんだけ損だったことになる(子供3人のジュニアNISAが818万円になりました)。

3. 自分でも、この基準から外れてる商品を持ってる

持ってるNASDAQ100トリプルには、2031年3月という償還日がある。
これは自分で決めた出口じゃない。

売るか持ち続けるかという判断が、期日どおりに外から打ち切られる可能性があるってこと。
基準に照らせば、本来は買わないはずの形をしてる。

それでも持ち続けてるのは、この償還日がすでに一度、後ろにずれてるから。

もともとの信託期間終了日は2026年3月25日。
それが2024年の約款変更で、2031年3月25日へ5年延長された。

純資産が残って運用が続いてるかぎり、同じことがもう一度起きる可能性は十分ある。
その期待値のほうが大きいと判断して、承知のうえでホールドしてる。

ただ、延長は約束されたものじゃない。
だから、延長されなかった場合の出口プランは先に作ってある(NASDAQ100トリプルの償還日は2031年3月)。

基準から外れたものを持つなら、外れてるぶんだけ備えを厚くしておく。
例外を作らないことより、例外だと自覚しておくことのほうが大事だと思ってる。

4. 決め打ちしたほうが正解の人は、確実にいる

出口がはっきりしてる人には、学資保険もiDeCoも住宅ローンも効率のいい手段。

60歳まで触らない自信があって、退職金の見通しが立ってるなら、iDeCoの節税を捨てるのはただの損。

この記事は「やめたほうがいい」って話じゃなく、自分の場合はこう決めた、って話。

いま、この基準でどこにいるか

50歳、子供3人、一馬力。
いまはコーストFIREと呼ばれる状態にいる。

必要額に対して資産が育ちすぎたから、NISAの積立額を減らせた。
その結果、キャッシュに余裕が出てきた。

このコーストFIREの期間に何を増やしてるのか、年金や退職金に頼りきらないと決めた理由は、人生のレールが途切れたときに備えて増やしているオプションの記事に書いた。

正直、短期的にそのつどの選択が正しかったかどうかは、比べようがないからわからない。
学資保険に入ってた場合の自分は存在しないから。

でも、長い目で見れば、この方向性は自分に合ってたと、いまは思ってる。

いま困ってるのは、積立を止めるきっかけがなくなってしまったこと。

選択肢を増やし続けた結果、選ばないまま続けられてしまうって別の問題が出てきた。

これはこれで、次に片づける課題。

2026年9月、持ってたオプションを選び直した

この課題に、ひとつだけ手をつけた。
2021年から持ってた米国ETFの整理。

並べ直してみて気づいたのは、どれも買ったときは「こうなったときのための選択肢」、つまりオプションだったってこと。

買ったときの役割銘柄取得額2026年9月下旬の評価額
ヘッジ(米中覇権で中国が勝ったとき)YINN(中国株3倍)約215万円約36万円(−83%)
宝くじ枠(半導体が爆発したとき)SOXL(半導体3倍)約181万円約900万円
配当狙い(定期的な現金がほしくなったとき)VYM・TLTなど6本約153万円約221万円(5年間の配当は手取りで約21万円)

5年たって、どのシナリオも答えが出たか、いまの自分には関係がなくなってた。
オプションとしての価値が、小さくなってたってこと。

しかもオプションは、持ってるだけでコストがかかる。
細かい銘柄をいくつも持ってると、それだけで頭のリソースを取られる。

そこで2026年9月29日と30日に、価値が小さくなったものを売った。

手放したのは、高配当の6本とYINN、TQQQ、そしてSOXLの一部(40株)。

含み損と含み益をぶつけて相殺したから、その年の譲渡損益は−22,211円。
売却益にかかる税金は0円だった。

手元に残った約393万円は、10月に為替ヘッジありのレバナスとNASDAQ100トリプルへ190万円ずつ入れた。

どっちも「NASDAQは伸び続ける」「円高に振れても困らないようにしておく」という、いまのシナリオに対するオプション。

例外はSOXL。

売ったのは40株だけで、残りの335株は手元に置いてる。

もう宝くじの大きさじゃないけど、売っても使い道がないから、何か大きな出来事があったときに現金にできる保険として残してる。

買ったときの目的が終わった資産は、次の目的が来るまで、オプションとして持っておくこともできる。

それぞれの銘柄を買ったときの狙いと、5年後どうなったかはレバレッジ型に寄せた5年後の記事で並べてる。

選択肢を増やすフェーズのあとには、選び直すフェーズが来る。

この基準は、買うときだけじゃなく、持ち続けてるものを見直すときにも使えるとわかった。

よくある質問

Q. 結局、NISAだけやればいいってこと?

そうは言ってない。

自分にとってNISAは「どの出口にも使える器」として都合がよかっただけ。
中身の商品選びはまた別の話で、そこではレバレッジ型という尖った選択をしてる。

器の話と中身の話は、分けて考えたほうがいいと思う。

Q. iDeCoの節税を捨てるのは、もったいなくない?

もったいない。
実際、毎年いくらか損をしてる。

それでも、60歳まで触れない資金を作るほうがこわかった、ってだけ。

教育費の山を越えてて、退職金の見通しも立ってる人なら、判断が変わって当然だと思う。

Q. 選択肢を残すって、決められない人の言い訳では?

その指摘は、当たってる部分がある。

だから「残す」と「決めない」を分けるようにしてる。
決めないのは出口であって、入口は毎回決めてる。

積立は自動で続いてるし、買わないものは調べたうえで見送ってる。
何もせず保留にしてるわけじゃない。

Q. 子供にはどう伝えてる?

進路そのものを渡そうとはしてない。

渡そうとしてるのは、どの進路を選んでも使える持ち札のほう。

そのうえで「枠にとらわれずリスクを取ってチャレンジしろ」と言ってる。
失敗したら終わりだと思ってる人間は、そもそも大きく張れないから(中卒で働いて投資する道もある、と子供に伝え続けたら)。

まとめ

20年かけてやってきたことを一行にすると、これだけ。

決められた出口にしか使えないものを避けて、どの出口にも対応できるものに寄せる。

学資保険もiDeCoも持ち家も塾も、それ自体が悪いものじゃない。
出口がはっきりしてる人には、むしろ効率のいい手段。

自分にはその「はっきり」がなかった。
だから、いま少し損をしてでも選べる状態を残すほうを選び続けてきた。

何かを買うか迷ったら、利回りでも割引率でもなく、まずこれを聞いてみてほしい。

その選択は、5年後の自分の選択肢を増やすのか、減らすのか。

免責

この記事は運営者個人の判断の記録であり、特定の金融商品・保険・不動産の購入や非購入を推奨するものではありません。iDeCoおよびNISAの制度内容は2026年9月時点のものです。制度は変更される可能性があり、最適な選択は家庭の状況によって異なります。最終的な判断はご自身で、必要に応じて専門家にご相談ください。

子供3人の5人家族を1馬力で支える50代・営業職の会社員。「固定費削減 × 時短家電 × 資産運用」で暮らしの質(QOL)を高める工夫を、実体験ベースで発信しています。新NISA(松井証券)・iDeCoを運用中。副業にも取り組み、一次情報と自分で試した結果を数字で記録することを大切にしています。

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