2022年、米国株が暴落している真っ最中に、私はその年の旧一般NISA枠120万円を全額、3倍レバレッジの投資信託(NASDAQ100トリプル)に入れました。翌2023年も、同じく120万円を全額。周りに話せば「正気か」と言われる使い方です。
結果を先に書きます。2022年枠は120万円→308.7万円(+157.2%)、2023年枠は120万円→407.7万円(+239.8%)。合計240万円が716.4万円になりました(2026年7月時点)。横浜市在住・50歳営業職・1馬力で子供3人。この記事は、新NISAでは二度と再現できなくなった「旧NISA×レバレッジ」という選択の記録と、そこから今も使える教訓の話です。
📋 この記事でわかること
- 旧一般NISAではレバレッジ型投信が買えた(新NISAでは不可)という制度の話
- 暴落中の2022年・底値圏の2023年に枠を使い切った実際の結果(+157%/+240%)
- 「暴落時に枠を使う」を支えた考え方と、怖くなかったのかという本音
- 旧NISAの5年期限と課税口座払い出しという、保有者が今から備えるべき現実
旧一般NISAは「レバレッジが買えた」最後の制度だった
意外に忘れられていますが、2023年までの旧一般NISA(年120万円・非課税5年)では、レバナスやトリプルのようなレバレッジ型投信を買えました。2024年からの新NISAでは、デリバティブを用いる投信は対象外。つまり「非課税×レバレッジ」の組み合わせは、制度として過去のものになりました。
私はこの最後の2年分の枠を、迷った末にトリプルへ全振りしました。理由はシンプルで、非課税の恩恵は「伸び幅が大きい商品ほど大きい」からです。同じ+100%でも、120万円が240万円になれば非課税の得は約24万円分。伸びない商品を入れるより、一番伸びる可能性のあるものを入れる。リスクを取れる前提があるなら、これが非課税枠の理屈だと考えました。
💬 実際どうなのか
「暴落中に3倍レバへ120万円、怖くなかったのか」とよく聞かれます。怖かったです。2022年の入金ボタンを押した日のことは今でも覚えています。それでも押せたのは、①特定口座のレバナスですでに下落を経験中で、恐怖に「慣れて」いた②『ブラックスワン』以来、「暴落は買い場ではなく、淡々と枠を使う日」と決めていた③この240万円は最悪ゼロでも生活が壊れない余裕資金だった、の3つが揃っていたからです。どれか1つでも欠けていたら、押せていません。
年別の結果:2023年枠は+239.8%になった
| 買付枠 | 投資額 | 取得単価 | 評価額(2026年7月) | 損益率 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年枠 | 120万円 | 14,016円 | 308.7万円 | +157.2% |
| 2023年枠 | 120万円 | 10,612円 | 407.7万円 | +239.8% |
| 合計 | 240万円 | — | 716.4万円 | +198.5% |
注目してほしいのは取得単価です。2022年枠(14,016円)より、暴落をさらに下った後の2023年枠(10,612円)のほうが安く買えて、損益率も+239.8%と全ポジション中の最高になりました。「暴落の翌年」は、多くの人が投資から離れていく時期です。その時期に機械的に枠を使い切った分が、結果的に一番働いてくれた。狙って底を当てたのではなく、「毎年枠は使い切る」というルールに従っただけ、というのが実際のところです。
✅ 対策
ここから取り出せる教訓は、新NISA時代にもそのまま使えます。「相場を見て枠を使うか決める」のではなく、「枠は毎年使い切ると先に決めて、あとは機械的に実行する」。私が新NISAで年初一括+毎月積立を自動化しているのは、この2022〜2023年の経験があるからです。
ただし、旧NISAには「5年の期限」がある
良い話だけでは終わりません。旧一般NISAの非課税期間は買付年から5年。私の2022年枠は2026年末、2023年枠は2027年末で非課税期間が終わり、その時点の価格で特定口座(課税口座)に払い出されます。新NISAへのロールオーバーはできません。
払い出し後は、その時の価格が新しい取得価格になり、以後の値上がりには課税されます。つまり私の場合、2026年末と2027年末という「動けない期限」が2つ迫っている。しかもトリプル自体に2031年3月の償還日もある。旧NISA×レバレッジの勝ち分をどう着地させるかは、値上がりを喜ぶのとは別の、もうひとつの仕事です。
⚠️ 以下に当てはまる方は慎重に検討してください
- この記事を「暴落時にレバレッジへ全額」の成功マニュアルとして読もうとしている(結果論の面が大きいです)
- 生活費を削って非課税枠を埋めようとしている
- 旧NISAで保有中なのに、自分の非課税期限を把握していない
- 新NISAでも同じことができると思っている(レバレッジ型は対象外です)
✔️ 以下の方に向いています
- 旧NISAのポジションを持っていて、期限までの動き方を考えたい
- 「枠は毎年使い切る」という機械的ルールの効果を実例で確認したい
- 暴落時に動けるようになるための条件(余裕資金・経験・事前ルール)を知りたい
旧NISA保有者が今からやるべき3つのこと
同じ立場の方に向けて、私がやっていることを共有します。①自分の各年枠の非課税期限を書き出す(買付年+5年の年末)②期限が来る年ごとに「そのまま払い出しを受けるか、期限前に売るか」を事前に決めておく③売る場合の資金の行き先(新NISA枠・特定口座での再投資)まで含めて紙に書く。期限のあるポジションは、期限が近づくほど判断が感情的になります。冷静なうちに決めておくのが一番の防御です。
「あのとき買えなかった」人へ
この記事を読んで「2022年に買えた人は運がいいだけ」と感じた方もいると思います。半分は本当にその通りです。ただ、私の周りで「暴落時に買えなかった」人たちを見ていて気づいたことがあります。買えなかった理由は相場観の違いではなく、ほぼ全員が「事前にルールを決めていなかった」ことでした。暴落の渦中で新しい判断をするのは、誰にとっても無理です。判断はすべて平時に済ませておき、渦中では決めたことを実行するだけにする。次の暴落までにできる準備は、これに尽きます。
そしてこの準備は、新NISAでそのまま実行できます。年初に「今年の枠をいつ・何に・いくら使うか」を決めて自動設定してしまえば、年の途中で暴落が来ようが高騰しようが、やることは変わりません。私の新NISA(毎月5万円+年初60万円のFANG+)は、まさに旧NISA時代の反省と成功をルール化したものです。
よくある質問
Q. 旧NISAの非課税期限が来る前に売るべき?
A. 一概には言えません。期限時点の価格が新しい取得価格になるので、「期限後の値上がりに課税される」ことを許容できるなら持ち続けるのも選択肢です。私は含み益の大きさと償還日(2031年)との兼ね合いで、期限ごとに個別判断する予定です。重要なのは、期限を過ぎてから考えるのではなく、期限の半年前までに方針を決めておくことです。
Q. payoutの前に新NISA枠へ移せる?
A. 直接の移管はできません。売却して現金化し、新NISA枠で買い直す形になります。売却時点で利益に課税されない(旧NISA内なら非課税)ので、非課税期間内に売って新NISAで買い直すのは、実務上もっとも素直な移し方のひとつです。ただし買い直し先はレバレッジ型以外から選ぶことになります。
Q. 同じ「全振り」を新NISAの成長投資枠でやるのはあり?
A. レバレッジ型は買えないので、完全な再現は不可能です。等倍商品(FANG+等)で年初に成長投資枠を使い切る形なら再現できます。私の年初60万円一括はその縮小版です。ただし「全振り」の本質は商品ではなく、①余裕資金の範囲②事前ルール③機械的実行の3点セットであることは、繰り返しておきます。
数字の補足もしておきます。旧NISA枠の合計含み益は約476万円。もしこれが特定口座での投資だったら、利益確定時に約97万円の税金がかかっていた計算です。非課税枠に「一番伸びる可能性があるもの」を入れた判断は、結果としてこの約97万円という形で報われました。もちろん逆に大きく減っていた可能性もあった——その場合、旧NISAは損益通算もできないので傷は深くなっていた——ことは、公平のために書き添えておきます。ハイリスク商品を非課税枠に入れるのは、増えたときの恩恵と減ったときの制度的不利がセットの、両刃の選択です。
旧NISAの2年間は、私の投資人生の中で「制度の追い風」を一番強く感じた時期でした。制度は数年単位で変わります。変わる前提で、いま使える枠を使い切る。それが会社員にできる、ほぼ唯一の制度との付き合い方だと思います。
📝 まとめ
- 旧一般NISAはレバレッジ型が買えた最後の制度。私は2022・2023年の枠240万円をトリプルに全振り
- 結果は716.4万円(+198.5%)。特に暴落後の2023年枠が+239.8%と最も働いた
- 成功の中身は「底を当てた」ではなく「毎年使い切るルールを機械的に実行した」だけ
- 非課税は5年で終わる。2026年末・2027年末の払い出しと2031年の償還が私の次の課題
制度は変わり、同じ手はもう打てません。それでも「枠を機械的に使い切る」「暴落を想定内にする」という中身の部分は、新NISAでもそのまま通用します。
※本記事は筆者個人の体験記録であり、特定の金融商品や投資手法の推奨ではありません。レバレッジ型投資信託は極めて大きな元本割れリスクがあります。制度の詳細は金融庁・各金融機関の最新情報をご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。


